「2017年不動産業界ニュース 10位~6位」に続き、2017年の不動産業界で起こった事件やニュースを紹介する。2017年も残すところ5日ばかりになった。今年の締めくくりとして、どんな出来事があったかを振り返っておこう。(リビンマガジン Biz編集部)
(画像=写真AC)
5位 空き家対策本格、仲介手数料にメス
6月、国土交通省は空き家の売買において、仲介手数料の上限を緩和する方向で検討しているという報道がなされた。また、11月には全日本不動産協会が、国土交通省に対して手数料の上限緩和に関する要望書を提出するなど、上限緩和についての動きが活発化した。
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物件価格が低い地方の空き家などは、仲介手数料も低いため、取り扱いを嫌がる不動産会社も多い。空き家の市場流通を促進するためには、企業が取り組みやすくする必要がある。
これまでも国交省は、「空き家バンク」などで空き家流通の促進を試みているが、効果は芳しいものではなかった。そもそも仲介手数料が現在の形に全国統一されたのは1970年だ。45年以上前から続く岩盤規制にメスが入ることで空き家問題は解決するのか。注目が集まっている。
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4位 建設業界人手不足深刻化
7月に帝国データバンクが発表した『「人手不足倒産」の動向調査(2013年1月~2017年6月)』では、人手を確保できなかったことが原因で法的整理した企業のうち最も多かったのが建設業(全体の36.2%)だったことが分かった。建設業界では、慢性的な人手不足が続いている。
3月には、新国立競技場の現場監督だった20代の男性が自殺し、10月に労災の認定を受けた。人手不足によって、就労環境が悪くなり、さらに人手不足をまねく悪しき連鎖が続いている。そういった背景から、日本建設業連合会は、2022年3月期までに、施工現場を週休2日制にする方針を固めている。建設業界にも働き方改革の波が押し寄せている。
3位 アパートローン金融引き締め。賃貸住宅建築業界は今後低迷?
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金融庁や日本銀行が、地方銀行などによるアパートローンを問題視し、金融引き締めに転じていることが分かった。日本銀行によると、2017年度上半期(4~9月)のアパートローンの新規融資額は1兆5,776億円で、前年同時期に比べて17.8%減っている。
四半期報告書(平成29年4月~6月30日)によると、大手アパートメーカー大東建託は昨年同時期と比べて建築受注が4.7%下落している。レオパレス21でも受注が14%以上も下落しており、今後市場が縮小していく可能性がある。
2位 不動産テック隆盛。変わる不動産業界
2017年は、不動産テック(Re-Tech)によって新たな可能性や仕組みが生まれた年でもあった。世界における不動産テックの投資額は約8,853億円で、そのうち60%がアジアで投資されている。
日本においても様々な技術革新により、不動産業界の変化が始まっている。
編集部でも不動産テックに関するニュースやコラムを多数扱った。
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1位 活況続く、昨年を超える不動産会社6社が新規上場
不動産業界全体では、好景気が続いている。首都圏や都心部での大規模な開発や、高いオフィス需要によって賃料改定が活発に行われるなど、連続最高益や最高益更新の企業が相次いだ。
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そういった活況の影響からか、IPO(新規上場株式)した企業は、昨年の5社よりも1社多い6社だった。
なかでも、東京を中心とした飲食店向けの賃貸事業をてがけるテンポイノベーションは、立地や利便性に左右される飲食店のニーズをつかんでおり、今後の飛躍が期待される企業の一つだ。
公開日 | 企業名 | 市場 | 証券コード |
---|---|---|---|
3月27日 | ティーケーピー | マザーズ | 3479 |
7月20日 | ジェイ・エス・ビー | 東証2部 | 3480 |
9月28日 | ロードスターキャピタル | マザーズ | 3482 |
10月25日 | テンポイノベーション | マザーズ | 3484 |
12月12日 | カチタス | 東証1部 | 8919 |
12月13日 | グローバル・リンク・マネジメント | マザーズ | 3486 |
不動産業界の好景気は来年以降も続くと予想されている。
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