勘違いするな。不動産を売るのが上手かっただけで人間として優れているわけではない


売買仲介営業をやっていると、様々な問題にぶつかります。営業、キャリア、社内の人間関係…
誰にも聞けない悩みは売買仲介営業専門のコンサルタント・梶本幸治さんに聞いてみましょう。
今週は、店長っていろいろ大変!(リビンマガジンBiz編集部)(毎週水曜日更新)

動画は下から↓

問い
仲介店舗の店長になりました。自分の売上だけを追っていた営業社員時代とは違う意味の頑張りが必要だと思っています。店長として必要な心構えや、やるべきことを教えてください。 

答え

店長になる人は不動産営業の天才です。部下に過度な要求はしないこと。

同時に不動産を売るのが上手いだけなので、人間性まで評価されたとは思わないこと。

店長は不動産営業の天才だから、凡人に過度な要求は禁物

店長にご就任 おめでとうございます。確かに営業時代とは、やるべきことが異なってきます。

まずは、あまり張り切りすぎないでください。部下の方も困ります。

これは不動産会社の社長さんとか幹部社員の方にも、私からいつも申し上げることなんですが、不動産会社の店長になるということは不動産の天才だけです。

あなたは天才やから店長になったんです。

不動産業界で働きながらも、店長になれない方はいっぱいいますからね。

それを会社から信頼されて、店長を任されるってことはあなたは天才なんです。

ということはどういうことかというと、「部下の方に俺もできたんだから。お前できるだろ」っていう ような詰め方はしないでいただきたいですね。

部下の皆さんは不動産営業の知識や技術などが、一定のレベルに達してないんで 店長になっていないのです。

あなたは、不動産の天才で 会社から認められたから店長になったんです。

ですから、「俺でもできるんだから、お前もできるんやろう」 というような本当にその考え方は本当にやめていただきたいですね。

数字は大切ですが、それが達していないことで詰めて、過程のことでは詰めないのも危険ですね。

例えば、店舗全体の集客自体にすごく問題があって、お客様の数が圧倒的に 少ないにも関わらず

「お前、なんでこんな数字なんや! 」て言っていては厳しいと思いますね。

もちろん、数少ないお客さんをいかに高確率で決めようか、と考えることも 大事なことです。

でも、それだけじゃなくて 集客が中途半端になっているのであれば、客数の母数も増やそうという発想に、店長さんになっていただきたいですね。

先述のように店長になれる人は営業の天才だと思ってください。だから、営業時代は会社から与えられた少ないお客さんをガンガン決めたから店長になれたのかもしれませんね。

ただし、部下の方は違います。

顧客数が少なくて、このお客さんの数では売上を上げられないのであれば、集客をいかに増やして どれだけお客様を渡してあげられるのか、考えていただきたい。

あと、店内の会議で「何でもいいから数字を上げろ!」とか「何をやっても稼げ! やり方を問わへん!」とか言う方いらっしゃるんですけど、そんなことだけ言っていて、売上げがでるなら、 別に店長職なんかいらないんですよ。

そういうことを言うと、あなたの自己否定につながりますので何をやってもじゃなくて、やっぱり理屈はあるんです。

こういうお客様には、こういう風にアプローチをして、こういう要求に、こう応えたらお金がいただけるという流れがあります。

根性論を全否定するわけではないです。

現場の指揮官として、根性を要求する時ももあるでしょう。

「突っ込めー!」と発破をかけることも必要と思います。

だけど、「突っ込め!突っ込め!」だけではあかんのですよ。

もう、ここぞという時に「突撃!」って言うから、みんなも突撃します。

四六時中、「突撃、突撃」言われとったら、もうしんどくて仕方ないですから。

そこのめりはりをつけて いただきたいなと思います。

自分ができないことでも、必要なことは部下にやらせるべし

店長になれる人は天才だから、部下に同じ要求をするな。これと真逆のことを言うようですが、自分が営業時代にできなかったことを部下にさせるのも管理職の仕事だと思います。

「自分ができなかったから、お前らもやらんでいい」ということでもないです。

「俺ができたんだから、お前らもできるやろう」もダメ。

「俺ができなかったから、お前らもできなくていいよ」 もダメです。

こう考えると、言ったらダメなことでいっぱいですね、

店長さんって大変ですね。

人間性まで上だと思うな

自分は天才なんだから、と言っていますが、裏を返せば、ただ営業が上手で不動産のことをよく知ってるから店長になっただけです。

人格がすさまじく優れているから 部下の上に立ってるわけじゃない。

「人として…」「人生っていうのは…」とかそんな話しないでくださいね。 

人格が優れているから、家が売れているわけではないですから、勘違いなさらないでいただきたい。

この業界で生きていくのに この店長時代ってすごく大事です。

だから、そういう自分の営業力もさびつかせずに部下マネージメントも やっていく。

そして、いろいろな協力会社や同業者とのお付き合いも、一般の営業マン時代よりも やらなければなりません。

役職が重くなるので、相手も以前よりちゃんと対応してくれます。

こんなところ考えていて、ちゃんとやっていけば今のお勤めの会社の中で店長からもう一段上の役職にいくこともあるでしょう。

ひょっとしたら、今の会社を退職されて、ご自身で会社を立ち上げられるかもしれません。

そういった可能性がある一方で、「店長やったこともある!」ということを人生の最大の自慢話にして、このあとは落ちぶれていく人も山ほど見てきました。

張り切りすぎずに、それでも、やはり張り切って頑張ってください。

 
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