【問45】事業用地仕入れ用DM全般に関するまとめ問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト

「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第45回となる今回は、前回(44回)、前々回(43回)に続き、ダイレクトメールに関する知識を問います。(リビンマガジンBiz編集部)

【問45】事業用地(建売用地や一棟建物建築用地等)の仕入れを行う為、土地所有者に対し売り求むのダイレクトメールを送付する際、その手法や考え方として正しいものは次の内どれか。

1. 事業用地仕入れDMを送付する対象物件は、使用されていない古いお屋敷やアパートなどが建っている建付け地の他、5台程度駐車できる駐車場も対象となるが、コインパーキングとして運用されているものは対象外とすべきである。

2. 事業用地仕入れDMの提案内容であるが、あくまでも「仲介(媒介)」による販売開始を提案すべきで、買取に言及すべきではない。オモテには表れていない諸条件により買取不可となった場合、クレームに発展する恐れがある為である。

3. 事業用地の仕入れDMの文章には、税務相談・法律相談等も無料で承る旨、必ず記載すべきである。大規模な不動産を所有している方は一般の不動産所有者様と比べ、税金や法律の問題で悩んでおられる事が多く、不動産に強い税理士や弁護士を紹介して欲しいと思っている可能性が高い為である。

4. 事業用地は法人名で所有されているケースも多い。この場合であっても「貴社社有不動産管理ご担当者様」宛などで売り求むDMを発送すべきである。但し、明らかに不動産会社が所有している事が分かる場合はこの限りでは無い。

【正解肢】4

【解説】

1.(誤)広めの土地所有者に対し売り求むDMを発送する「事業用DM」であるが、筆者(梶本)がコンサルを実施しているクライアント先では50件~100件程度の送付で1件に問い合わせを得ている。このような事業用DMの送付先として、使用されていない古いお屋敷やアパートなどが建っている建付け地は狙い目である。又、コインパーキングに関しても、運営会社によっては比較的容易に解約出来ることから、DMを送付すべきと考える。

2.(誤)事業用地は居住用物件建築用地と比べて、買主様の候補は少ない。そのような点を勘案すると「仲介(媒介)」による販売提案は「弱い提案」と感じる。事業用地販売提案の基本は自社買取であり、自社買取が難しい場合でも「高値業者買取紹介」若しくは「業者入札開催」による仲介の提案まで踏み込みたい。尚、オモテには表れていない諸条件により買取不可などは、どのような案件でも起こりうる事であり、DM送付時点でそこまで考慮する必要は無いと考える。

3.(誤)事業用DMであったとしても提案すべきは「売却一択」である。事業用地所有者様が不動産に強い税理士や弁護士を紹介して欲しいと思っている可能性は否定出来ないが、不動産会社としてはあくまで「高値売却」の訴求で突き通す事をお勧めする。

4.(正)本肢記述の通り。法人所有であってもDM送付を躊躇う理由は無い。しかし、所有者が明らかに不動産会社の場合は「ネチネチ絡まれる事を防止する」点と、「自社の集客施策を知られない」点から、DM送付を見送った方が無難である。従って本肢の記述は正しく、本肢は本問の正解肢となる。

【参考記事】

・不動産仕入れDMの基本的な考え方と、その目標反響率(2019年10月23日公開)

・駄目な不動産DM解説|士業との繋がりを強調するDM(2019年11月27日公開)

・不動産会社に税金や法律の相談をしたいか?|空地・空家DM反響増の秘訣(2018年6月6日公開)

※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。

 
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