【問44】収益一棟オーナー向け売り求むDM全般に関するまとめ問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト

「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第44回は前回に続いて(第43回)、ダイレクトメールに関する知識を問います。(リビンマガジンBiz編集部)

【問44】収益一棟物件を所有されているオーナー様に対し、売り求むダイレクトメールを送付して仕入れを行う際、その手法や考え方として正しいものは次の内どれか。

1. 収益一棟物件のオーナー様に対しては売却提案だけでなく、管理会社変更の提案もDM本文に記載すべきである。管理が取れれば、将来売却される時も一番に声をかけて頂ける可能性が高い為である。

2. 収益一棟物件のオーナー様は実需居住用不動産の所有者様に比べ、「プロ」に近い存在である。従って、DMに封入する書類や提案資料は、出来る限り豪華な仕様とし、「この不動産会社のDMはお金がかかっているな。それだけやる気があるという事だな」と感じて頂けるようにしたい。

3. 収益一棟物件のオーナー様に対しては多くの不動産会社からDMが送付されている筈である。その中にあって自社送付のDMを開封して頂く為には、封筒の宛名書きを手書きで行うなど、開封率向上の施策を講じる必要がある。

4. 収益一棟物件のオーナー様に対してDMを送る際は、その所有されている物件が「売れ筋」であるか否かを検証してからDMを送付すべきである。ファイナンスがつかない物件や、今後の賃貸需要の落ち込みが予想される物件の販売を受託しても、成約出来る可能性が低い為である。

【正解肢】3

【解説】

1.(誤)売り求むDMを実施する場合は、「売却提案」一本に絞り、他の提案を記載しない事をお勧めする。これは訴求ポイントをブレさせない為であり、この原則は収益一棟オーナー様に対するDMでも同様である。又、現在の管理会社からのクレームが入る場合もある事から、管理会社変更の提案は慎むべきと考える。

2.(誤)売り求むDM成功の為には「ダイレクトメール感を出さない事」と「高値訴求」が重要である。本肢記述のように豪華なDMを送付すれば反響が獲得出来るものではない。これは「プロ」に近い存在である、収益一棟オーナー様に対してでも同様である。

3.(正)本肢記述の通り。開封率向上の施策を講じる事はどのようなDM実施する場合でも重要であるが、収益一棟物件のオーナー様に対しては多くの不動産会社からDMが送付されている事が想定されるため、特に注力すべきである。従って本肢の記述は正しく、本肢は本問の正解肢となる。

4.(誤)本肢記述のように、ファイナンスがつかない物件や、今後の賃貸需要の落ち込みが予想される物件の販売は難しい。従ってそのような物件を所有されているオーナーに対し、売り求むDMを送付する事は無意味なようにも感じる。 しかし、収益一棟物件のオーナー様は実需居住用物件の売り主様とは異なり、今後も反復継続してのお付き合いが出来る可能性がある。「物件を買い増ししたいから、何か物件を紹介して欲しい」や「他で所有している収益物件を売ってくれないか」という依頼を受ける場合があるからである。 つまり、収益一棟オーナー様に対するDMは単なる売り求むに留まらず、VIP顧客の掘り起こしという側面も持っている事を認識したい。 又、ファイナンスがつかない物件や、今後の賃貸需要の落ち込みが予想される物件を見事販売出来れば、オーナー様からの信頼を勝ち取る事も期待出来る。 このような理由からDM送付に対象物件を精査し過ぎる事はお勧め出来ない。

【参考記事】

・駄目な不動産DM解説|売買・賃貸・リフォーム何でも出来るDM(2019年11月6日公開)

・不動産売り主向けDMで、開封率を向上させる封筒とは?(2019年12月4日公開)

※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。

 
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