【問48】不動産売却相談会(セミナー)開催全般に関する問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト

「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第48回となる今回はセミナーの集客に関する知識を問います。過去の記事とあわせて、学びましょう。(リビンマガジンBiz編集部)

【問48】】不動産売却相談会(セミナー)を開催するにあたり、その手法や考え方として正しいものは次の内どれか。

1. 不動産売却相談会(セミナー)はそもそも多くの参加者が見込めないイベントである。参加者が見込めないイベントであるにもかかわらず、有料の会場を借りる他、告知チラシの配布にお金をかける事等は慎むべきと考える。従って、告知は自社HPのお知らせ欄や店舗前看板に留め、会場も自社店舗を用いるなど、極力予算を使わないよう心掛けたい。

2. 不動産売却相談会(セミナー)権威付けの為にも、講師は士業の先生に依頼したい。士業を講師に招聘する際も、三大国家資格である「司法試験(弁護士)」、「公認会計士」、「不動産鑑定士」の先生方が特に望ましい。

3. 不動産売却相談を希望される方は「他人に知られないように相談したい」とのご要望が強い。その為、不動産売却相談会(セミナー)は完全予約制の個別相談で開催すべきであり、相談者(お客様)同士が顔を合わさないよう注意を払うべきである。

4. 不動産売却を希望される方の共通したご希望は「高く売る」事にある。不動産売却相談会(セミナー)開催に際しても、この「高く売る」という点を訴求する事が効果的であり、具体的には相談会の名称を「不動産高値売却相談会」にする事も有効である。

【正解肢】4

【解説】

1.(誤)不動産売却相談会(セミナー)開催の主な目標は「既存売り顧客の掘り起こし」にあり、新規開拓は次順位の目標である。しかし、売却相談会自体で集客したお客様は受託率・買取率も高い為、新規集客を初手から諦める事は得策ではない。従って集客にもしっかりと予算を掛け、会場も公営会館(市民会館・区民ホールなど)を利用する等、万全の準備で臨むべきと考える。

2.(誤)不動産売却相談会(セミナー)の講師は不動産のプロである自社営業担当者こそ相応しいと考える。士業の先生方の中には「商売っ気」の薄い方もいらっしゃり、このような方と組むと不動産案件がなかなか出てこない事になる。不動産売却相談会(セミナー)の権威付けは必要だが士業に頼る必要は無く、ましてや三大国家資格に拘るメリットは無い。

3.(誤)不動産売却相談を希望される方は「他人に知られないように相談したい」とのご要望が強い事は否めない。しかし、肢1の解説でも述べた通り、売却相談会自体での集客にも期待したい。そこで、相談会開催に当たっては公開を原則とし、予約不要で実施する事をお勧めする。実際に相談会においては他人の目を気にされる方は不動産会社が想定しているよりも少なく、予約不要の公開制を採用するメリットとデメリットを考えると、メリットの方が大きいとの結論に至った。

4.(正)本肢記述の通り。売却検討中の不動産所有者様に対しては「高値売却」を訴求すべきであり、そのシンプルな手法として相談会の名称を「不動産高値売却相談会」にする事は有効な手法である。従って本肢の記述は正しく、本肢は本問の正解肢となる。

【参考記事】

・不動産売却相談会を開催する際の基本的な考え方(2020年6月10日公開)

・不動産売却相談会のプログラムに関する問題(2021年5月26日公開)

・不動産売却相談会を開催する手順と準備|具体的不動産営業活動(2018年11月7日公開)

・起源は南北朝!?天皇より賜った由緒ある土地売却を決意!?(2017年6月7日公開)

※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。

 
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