宅配ロッカーイメージ  ※プレスリリースより

 三井不動産レジデンシャルは17日、宅配ボックス・宅配ロッカーなどのサービスを展開するフルタイムシステムと組み、

「再配達ゼロ」を目指すプロジェクトを開始したと発表した。

 同プロジェクトを開始した背景には、Eコマース市場の拡大に伴う、宅配サービス会社の取扱い個数の増加、

配達員の人手不足といった点に加え、受取人不在の「再配達」という課題がある。

 同社では、この再配達率を低減させるために、マンションのような集合住宅では「宅配ロッカー」の導入が有効と考えた。

 しかし現状では、宅配ロッカーの設置スペースが容積率算入の対象となるため、必要最低限の数のBOXしか設置できない。

そこで、2016年6月から両社横断のプロジェクトチームを立ち上げ、宅配サービス会社へのヒアリングと、

フルタイムシステムが集積したデータを分析、宅配ロッカーの利用に関する現状の課題を抽出することからスタートさせた。

 検討の結果、利用状況に適した新しい宅配ロッカーの開発や入出庫の回転率の向上策など、

ハードとソフト(運用)の両面から、今回4つの対策を考案した。

 それが、次の4点となる。

1.利用状況に適した宅配ロッカーの新構成によるBOX数の増加
2.宅配ロッカーの入出庫回転率の向上を図る
3.宅配ロッカーへの入庫数の減少を図る
4.「宅配ロッカーの利用情報閲覧サービス」の提供

従来のロッカー構成と新ロッカー構成  ※プレスリリースより

 まず1について、近年の宅配物は数量増加の一方で、サイズは小型化している。

 両社が提供する既存マンションの宅配ロッカーでは、「S」サイズ(内寸法:W411×D546×H246mm)の

BOXの利用が全体の約80%を占める。

 宅配サービス会社へのヒアリングでは、約60%が両社の「S」サイズよりさらに小さい

「80サイズ」(3辺の合計が80cmまでの荷物)であることが分かった。

 そこで、「SS」サイズ(内寸法:W411×D546×H108mm)のBOXを新開発し、従来と同じスペースでも、

より多くのBOXが置けるように工夫した。

 2について、同社が過去に首都圏で分譲した300戸以上のマンションのうち、

27棟に設置された宅配ロッカーを調査。

 ロッカーに空きがないことを示す「満杯警報」の受信数は1年で合計1万1490件におよんだ。

 宅配会社が配達に訪れてもロッカーに空きがなく入庫できないという状態が、1日平均約1.2回発生していた。

滞留通知の仕組み   ※プレスリリースより

 対策として、滞留通知サービス改良による入出庫回転率の向上を図るために、

フルタイムシステムが運用する「FTSコントロールセンター」によって、ロッカーの利用状況データを取得、

メール・FAX・自動電話による滞留通知を行い(24時間・365日)、荷物の取り出しを促す仕組みを提案。

 今後はさらに改良し、4日目・10日目・20日目のサイクルで行っている滞留通知を

2日目・4日目・10日目・20日目のサイクルへと変更。

 滞留2日目の通知を追加することで、より早い荷物の取り出しを促す。

 ほかにも、宅配ロッカーに荷物が届いた場合、マンションの集合玄関(メインエントランス)で

着荷を通知するサービスを実施、宅配ロッカーの入出庫回転率を向上させていく。

 そのためにキーメーカー各社に開発を依頼。
 キーシステムが設置されている全てのセキュリティーゲートでも着荷を通知するシステムを順次導入していく。

 これにより、メインエントランスを使用しなかったことで帰宅時に着荷の有無が確認できないという状況を防ぎ、

より早い荷物の取り出しを促す。

 3について、「メール便対応ポスト」を集合住宅の郵便受けに導入していく。

 新型ポストは、投入口を流通数の多いメール便サイズ(W340×D260×H35mm)が投函できる大型のサイズとし、

宅配ロッカーの利用頻度減少を図る。
 

※プレスリリースより

 4について、「宅配ロッカーの利用情報閲覧サービス」を構築し、宅配サービス会社の配達員に提供を予定。
 配達ドライバーは、専用Webサイトにログインすることで配達先のマンションの宅配ロッカーの空き状況を把握でき、

住民不在時に宅配ロッカーの前まで荷物を運んだものの、空きがなく引き返すなどの無駄を省くことで、配達効率を向上させる。


 パークタワー晴海   ※プレスリリースより

 今年6月に発売される予定の「パークタワー晴海」では、これら4つの対策に加え、

コンシェルジュでの「冷蔵・冷凍品お預かりサービス」、各住戸専用宅配ロッカーの設置(プレミア住戸に限る)を図るという。

 今後の抱負について、「再配達ゼロに向けた4つの試みを促進し、

(各種サービスの)利用効率の向上を図っていきたいです」(広報担当者)という。

 
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