不動産売買、特に土地売買をするときに、注意しなくてはならないのが瑕疵担保責任。あまり聞き慣れない言葉かもしれません。不動産を売ってしまってから何か問題が明るみに出て、それが売り主の注意義務違反など、瑕疵があった場合は、売り主がその改善費用を負担しなければならないのです。

土地だけでなく、自分が住んでいた住宅でも、何か問題があれば改善費用を負担しなくてはならない場合があります。

災害はどこでも起きる可能性が。。。

■「知らなかった」では済まされない瑕疵担保責任

住宅の売買をめぐっては、一般的に不動産業者を介して行われることが多いので、建物の査定時に詳しく調べられます。そのため、建物の欠陥について、事前にわからないということはあまりないでしょう。その場合、売り主は修繕(リフォーム)をするか、その事実を告知した上で住宅の価値を下げてでも販売することになります。このような場合は全く問題はありません。

瑕疵担保責任が実際に問題になるのは、例えば、自分が売った土地に買い主が建物を建てようとしたところ、地中に杭や耐圧板などのが残っていて、それを除去しないと家が建てられないといった場合です。分譲住宅などで売り主がその事実を知らなかったとしても、その撤去費用は売り主の負担になってしまいます。撤去費用には産業廃棄物としての廃棄料も含め、高額な出費になるので、気をつけないといけません。実際に裁判になることもあります。

家屋の売買では、例えば入居してすぐに給湯器が故障した、建物にひび割れや鉄筋の耐力低下等の瑕疵があったなどの事例があり、実際に裁判になっています。知っていて隠してていた場合は論外ですが、鉄筋の強度不足などはきめ細かな調査をしないと知らずに売ってしまうこともあります。

このようなことがないように、耐震診断などで十分に細かな調査をしておくことが望まれます。

■契約には「危険負担特約」を結んでおこう

瑕疵担保責任と良く似たものに「危険負担」というのがあります。

売買契約が成立してから、実際に買い主がその家に住む前に地震などの災害に遭い、住宅が倒壊してしまった場合などがあります。地震や洪水は天災だからと知らぬ顔というわけにはいきません。場合によっては売り主に負担が出る場合があるのです。

買い主が住宅ローンを借りて購入する場合などは住宅ローンの決済が関わってくるため、引き渡しまで1ヶ月以上かかることもあります。その場合、売り主に代金は入ってくるけれど買い主は住むところを失ってしまうことになります。

そこで、これを回避するために「危険負担特約」というのを売買契約に入れておくというのが今は一般的のようです。もし、災害等で住めなくなった場合には、売買契約を解除できることを明文化しておくのです。こうしておけば売り主にお金は入りませんが、買い主が負担を負うことはありません。また、修繕ですむ程度の損害であれば、改めて売り主が修繕を行い、引き渡します。

また、火災保険や地震保険など、建物保険に入っていれば、引き渡しまでに起きた災害に関してはその保険でまかなわれるような特約もあります。修繕が必要になった場合などは、負担がかなりになることも考えられるので、そういった保険に加入しておくことも1つの考え方です。

ちなみに、「瑕疵担保責任」は物件引き渡しから2カ月から3カ月、長くても6カ月くらいの期間に問題が生じた場合、補償しなければならない可能性があります。一方、危険負担の場合は、引き渡しが終わってしまえば売り主に負担は生じません。

 
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