遠くない将来、不動産テックによって不動産ビジネスは劇的に変化すると言われている。

これまでの商慣習や仕組みが変わり、無数の新ビジネスが生まれるかもしれない。

不動産ビジネスとは密接な関係のある相続を変えるサービスを作ったFP-MYS(東京都千代田区)の工藤崇社長に聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)

FP-MYS 工藤崇社長 撮影=リビンマガジンBiz編集部

―提供しているサービスについて教えてください。

「レタプラ」は専門家とのあいだでスマートフォンを使って相続の相談できるサービスです。

2019年3月にリリースしました。

自身の相続について考えている方は資産や家族構成を入力しておけば、試算した情報を専門家が受け取り、チャットでアドバイスをしてくれます。無料で使うことができます。

相続となると税理士や弁護士に相談すると考える方が多いのですが、実は保険会社や不動産会社、証券会社なども相続対策との接点はとても多いです。レタプラを導入している専門家や不動産会社のセミナーに参加したり、個別相談を受けたりすることでサービスを利用できます。

でも相続案件というのは、ノウハウがなければ対応することが難しいのも事実です。生産緑地や広大地評価などをまんべんなく理解している不動産従事者は少ないです。そこで、レタプラでは1対1のチャットではなく、複数の専門家でチャット対応することで解決することを目指しています。

例えば、不動産売買仲介の営業社員が相続の相談を受けたとき、その後の追客は「レタプラ」を使って、社内や社外の専門家とグループにしたチャットで対応することが可能です。

また、相続でもめないためには遺言書が重要です。しかし、遺言書を残している方はとても少ない。実は専門家も遺言の専門知識が乏しい。そこで、「もしも明日に亡くなるとしたら、資産をどうするか」を1分間の音声で残し、専門家が保管する機能が付いています。ふわっとした相談内容であっても、音声で明確にすることができます。

2019年1月に公的遺言・実質遺言の財産目録がパソコンで作成しても良いことになりました。そもそも、これまでは手書きでなければいけなかったことも問題なのですが(笑)とても、手軽になったことは間違いありません。レタプラでも、財産目録が印刷できる機能を付けています。

レタプラ プレスリリースより

―専門家が受けた相続の相談を案件化していくサービスですね。

例えば相続についてのセミナーをして、来場者の名簿は取ったけれども、一人一人とはきちんと話できていない場合などでもレタプラは有効です。家族構成や資産を口頭で聞き出すのは、かなりセンシティブで難しい。まずレタプラを使って繋がっていて、顧客化することができます。

弁護士法や税理士法に抵触しないようなフォーマットになっているので、そういった意味でも安心して利用してもらえるはずです。専門家を3人まで1つのチャットグループに登録できるので、税務のことは税理士、法務については弁護士が答えるといった分け方ができるわけです。

これまでは宅建士が受けた案件を、「詳しくは後日、税理士から答えます」と一度遮断されていましたが、それも公開の状態で行うことができます。税理士がきちんと答えてくれているのかといった案件進捗も確認することが可能です。

もし、参加してもらった専門家の対応が不満であれば、登録を解除して別の専門家に参加してもらおうことも可能です。最終的に最適解を見つけるのはエンドユーザーです。そのために専門家が尽力することこそ、トラブルを解決する近道だと思っています。

▶次のページ:同時並行で相続対策を受け持つ(2ページ目)

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