こんにちは。弁護士の大西敦です。
不動産競売に関する相談を受けることがあります。内容としては、所有している不動産が担保に入っており、競売にかけられそう、競売で落札した不動産に占有者がいるといったものが多いのですが、ごくまれに不動産競売で不動産を取得したいがどうすればよいのか、何か法的な問題点はあるのかといった相談を受けることもあります。
ここでは、不動産競売手続の概要についてご説明したいと思います。
その手続の流れとしては、公告→入札→開札→売却許可決定→代金納付という形になります。
1 公告
不動産競売手続は、通常「期間入札」という方法で行われます。
期間入札とは、裁判所が一定の入札期間を定め、その期間内に入札を受け付け、開札期日に開札を行って、最高価買受申出人を決定する方法です。東京地裁民事執行センター(民事第21部)では、通常8日間とされています。
競売手続で売却される不動産については、通常は入札期間が始める前に裁判所に公告書が掲示されます。
公告書には、当該不動産の登記上の表示事項、入札期間、開札期日、売却基準価額、買受可能価額、保証の額等が記載されています。
また、裁判所では、当該不動産に関する物件明細書、現況調査報告書、評価書のいわゆる3点セットを見ることができます。
物件明細書には、当該不動産について、売却により法定地上権が成立するかどうか、買受人が引き継がなければならない他人の権利があるかどうかといった事項が記載されています。
次に、現況調査報告書には、不動産の状況、不動産を専有している者の氏名等が記載されており、写真も添付されています。
さらに、評価書は、不動産の評価額が記載されています。
3点セットは、不動産競売物件情報サイト(BLT)で見ることができます。
http://bit.sikkou.jp/app/top/pt001/h01/
2 入札
入札は、書類提出によって行います。入札価格は、公告書記載の買受可能価額以上の価格である必要があります。
そして、入札をするときには,保証を提供する必要があります。その金額は,通常、売却基準価額の20%です。
保証の提供の方法としては、入札前に、所定の預金口座に、その金額を振り込み、金融機関の領収印のある保管金受入手続添付書を入札保証金振込証明書の用紙に貼って、入札書とともに提出する方法があります。
この他に、銀行、損害保険会社等と支払保証委託契約を締結して、その証明書を提出する方法があります。
3 開札
開札は開札期日に行われ、最も高い価額をつけた入札者が「最高価買受申出人」となります。
4 売却許可決定
裁判所は、売却決定期日に、最高価買受申出人に不動産を売却するか否かを決定します。一定の場合には売却が許可されないこともありますが、多くの場合は売却が許可され最高価買受申出人が買受人となります。
5 代金の納付
最高価買受申出人に売却が許可された場合、代金納付期限が指定されます。
買受人は、定められた期限までに、代金を納付します。
代金が納付されると、当該不動産は、買受人の所有となります。
裁判所は、法務局の登記官に対して、所有権移転登記の嘱託をします。
また、買受人が不動産の占有者から引渡しを受けられない場合、裁判所に対して、引渡しを命じる裁判を求めることができます。