税理士の川名です。
今回は不動産のコンサルティングについて、最近のトレンドを踏まえてお話しさせていただきます。
税理士のクライアントに、収益不動産をお持ちのオーナーの方は多数いらっしゃいます。
私も税理士としての税金計算のみならず、収益不動産をお持ちのオーナーと膝を付け合せて、先行きの考え方をお話しする機会が多数ございます。
古典的な方法とお考えの方もいらっしゃるとは思いますが、個人所有の不動産を法人化する手法を目にすることが多いですね。
典型的な相続税や所得税住民税の対策として以下のような方法を考えることが多いと思います。
1.資金を借入して、収益不動産取得する。
2.個人所有の建物を法人へ売却する。
以下、解説いたします。
1.の場合は、被相続人となる方にアパートなどを借入金によって取得してもらう手法です。
実際に、2億5千万円にて収益物件を取得した方がおりますが、なんと相続税評価額は1億2千万円でした。
単純に、2億5千万円-1億2千万円=1億3千万円の相続財産の圧縮効果があることになります。
全額借入金にて取得しましたので、返済ができるか心配でしたが、資金繰表を作ってみたところ、キャッシュ・フローはプラスとなりました。
もちろん、今後の修繕計画など未知数ですが、被相続人となる方が高齢であり、相応の効果が期待できる案件でありました。
2.の場合には、既に1.のような収益不動産を前回の相続にて行っており、その次の相続が心配なケースで有効であると思われます。
実際に現状2つの案件を受けて検討中です。
個人の不動産の時価が3億円で借入金の残高が2億円とすると、個人側で譲渡所得税が不要な場合、1億円が手元に残ります。
法人では、銀行借り入れにより、3億円を借入してその個人所有の不動産を購入することとなります。
個人側の譲渡所得税の納税が必要か否かの判断については、個人の不動産の帳簿価格と時価とのバランスがポイントとなります。
法人側では不動産の収入により個人と同様に利益は生じますが、個人と法人の税率のギャップにより、キャッシュ・フローが向上します。
現行の所得税・住民税は最高約50%であるのに対し、法人税は約30%と、最大20%程度の開きがあります。
この税率のギャップの効果が、キャッシュ・フローを向上させ、非常に利益をもたらすと考えられます。
その他登録免許税などのイニシャルコストの問題、法人の出資者を相続人とするか否か、減価償却費や消費税の問題、役員報酬を通じて所得分散など
考慮することはありますが、ご一考の価値はありそうです。