【問40】不動産仕入れ営業で最も大切にすべき事柄に関する問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト

「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第40回は営業とは何かを問います。(リビンマガジンBiz編集部)

【問40】不動産仕入れ営業に対する取り組み方や考え方として、誤っているものは次の内どれか。

1. 不動産所有者様の関心は「どうすれば所有不動産が高く売れるか」という点に尽きる。その為、不動産所有者様への提案に際しては、「高く売る為の施策説明」を中心に展開すべきである。

2. 不動産所有者様と査定訪問等でお目にかかる場合は、事前にその方の名前でネット検索し、入手出来る個人情報は予め確認しておくべきである。又、登記簿謄本の内容も隅々までチェックする等、事前の準備を徹底したい。

3. 相続登記未了の相続案件に関しては先ず、自社紹介の司法書士で相続登記を行うよう提案する事が望ましい。相続登記の司法書士を紹介できれば、他社へ売却を依頼されてしまう可能性は少なくなる。

4. 不動産所有者様との折衝時は、不動産会社サイドが交渉のイニシアチブ(主導権)を取る為、不動産所有者様に話をする隙を与えない事が重要である。不動産所有者様を論破するくらいの気概を持たなければ、有利に交渉を進める事は出来ない。


【正解肢】4

【解説】
1.(正)不動産所有者様のご希望は様々である。早く売りたい方、近所に知られたくない方、面倒な手続きを省略したい方など、まさに十人十色のご希望をお持ちである。しかし、「高く売りたい」という一点においては、どの方も共通している事から、不動産所有者様への提案に際しては「高く売る為の施策説明」を中心に展開すべきと考える。

2.(正)不動産所有者様との折衝に際しては、事前にどれだけの情報を整理しておけるかが成功の鍵となる。従って、一般に公開されているインターネットの記事や、登記簿謄本の内容(表題部・甲区・乙区の全て)を事前にチェックしておくべきである。

3.(正)本肢記述の通り。又、不動産所有者様(相続人)からのヒアリングだけで推定相続人を決めつける事は危険であり、そのような状態で不動産の売却をスタートさせてしまうと、取引の安全が担保されない。従って、取引の安全を図る観点と、営業テクニック的な側面から、相続登記未了の相続案件に関しては先ず、自社紹介の司法書士で相続登記を行うよう提案する事が望ましい。

4.(誤)不動産所有者様との折衝時に大切な事は、売却理由のヒアリングである。売却理由をヒアリングした後も、希望売却価格・希望売却時期・残債等をヒアリングしていく。つまり大切な事は「聞く事」であり、不動産所有者様を論破するなど絶対に慎むべきである。従って本肢の記述は誤りであり、本肢は本問の正解肢となる。

【参考記事】

梶本幸治総集編、反響が多かった5記事を紹介(2020年10月7日公開)

梶本幸治総集編その2、「いいね」が多かった5記事を紹介(2020年10月14日公開) ・不動産買付営業の基本的な考え方と定義|【売り】から入る不動産買付営業①(2019年3月27日公開)

※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。

 
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