【問37】不動産仕入れ営業の為のロープレ実施に関する問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト

「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第37回は営業ロープレについてです。(リビンマガジンBiz編集部)

【問】不動産仕入れ営業時の売主折衝力向上の為、営業ロープレを実施する際、その手法や考え方として誤っているものはどれか。

1. ロープレ実施に際しては売主様情報(年齢・職業・家族構成・売却理由等)や売却予定物件情報(物件種別・面積・築年数・所在地・登記簿情報等)を細かに設定する事が望ましい。または、具体的な案件を、ロープレ事例として用いる事も効果的なロープレ実施方法といえる。

2. 売主様との折衝においては売却理由のヒアリングが最も重要である。その為、ロープレ実施前に売主様の売却理由を詳細に記載した紙を用意し、営業担当者役の社員がその紙の内容(売却理由)を当てる(売却理由の把握)といったロープレを実施すれば、売主折衝力向上の効果が期待出来る。

3. 売主様は自らの要望(売り出し価格・売り出し時期等)を伝えてくるが、これらの要望を聞いていては営業担当者としては失格である。よってロープレでは、売主様の要望を論破出来るトークを身につける必要があり、それには売主様が反論する機会を与えないほどのマシンガントークの習得が不可欠である。

4. ロープレ実施時、可能であれば動画を撮影し、自らの話し方や所作を後程確認出来るようにしたい。人間には様々な癖があり、その癖によって商談を不利にする場合がある為、動画で自らを客観的に見る事は気づきの多い手法である。

【正解肢】3

【解説】 1.(正)ロープレは「実戦さながら」に実施する事が大切であり、細かな設定を事前に準備しておく必要がある。しかし細かい設定の準備は時間を要する為、本肢記述のように実際の案件事例をロープレに用いる事が出来れば効果的であり、準備の手間も省ける。

2.(正)売主折衝時に最も大切な事は、本肢記述の通り売却理由のヒアリングである。その為、ロープレの目標を売却理由の把握に置くことは効果である。 又、「紙に記載された売却理由を当てる」ロープレはゴール(正解)が明確である点からもお勧め出来る。一般的な営業ロープレではゴール(正解)が「上司の頭の中」にだけ存在し、ロープレを主催する上司の自己満足だけに終わる恐れがあり、このようなロープレに参加させられる部下はいい迷惑である。その点「紙に記載された売却理由を当てる」ロープレならルールが明確である為、公平性が担保される。

3.(誤)売主様の要望(売り出し価格・売り出し時期等)をヒアリングする事は、売却理由を明確にする事に繋がる。それにもかかわらず、売主様の要望を論破などしてしまうと、いつまでたっても売却理由を把握する事は難しい。 売主様との折衝時は売主様のお話を拝聴する事が大切であり、マシンガントークでの論破を目指すなど論外である。よって本肢の記述は誤りであり、本肢は本問の正解肢となる。

4.(正)本肢記述の通り。恥ずかしがらずに撮影される事をお勧めする。

【参考記事】
・不動産一括査定サイト反響顧客の「売る気は無いが、価格を知りたかった」って本当?(2019年10月9日公開) ・「机上査定で結構。訪問は不要。」訪問査定で得られる、売り主様のメリットとは?(2019年10月16日公開)  ・専任媒介って本当に一般媒介よりも売れやすいの?(2019年10月2日公開) ・売却理由は資産処分です。そんな回答で満足する気ですか?(2019年9月11日公開)

※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。

 
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