【問34】不動産価格査定書の送付及び提示に関する問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト

「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第34回は不動産の価格査定書です。(リビンマガジンBiz編集部)



画像=PIxta

【問34】不動産価格査定書を不動産所有者様(売主様)へ直接提示する場合及び、直接提示出来ず郵送する場合において、正しい考え方や手法は次の内どれか。

1. 不動産一括査定サイトからお問い合わせ頂いた不動産所有者様と連絡がとれないことがある。この場合、電話連絡が出来ずメールの返信も無い状態では、不動産価格査定書の送付は思いとどまるべきである。自社の提案が他社との交渉における「たたき台」とされる恐れがある為である。

2. 不動産の査定価格は不動産所有者様が最も関心を持っておられる事柄である。従って、不動産所有者様にお目にかかって提案する場合は、最初に査定書を提示し査定価格をお伝えしてから、細かな説明をするべきである。

3. 不動産価格査定書を不動産所有者様に送付する場合は、メールと郵送の両方で送付すべきである。メールのみを送付する営業担当者が多いが、この方法では将来の「復活問い合わせ」が期待出来ない。

4. 営業成績が良い不動産営業担当者の中には「査定書など作成しない方が受託(買取)し易い」という営業方針の方がいらっしゃる。この方針は全ての営業担当者が目指すべきで、査定書を作成しているようではまだまだ半人前である。

【正解肢】 3

【解説】
1.(誤)電話連絡が出来ずメールの返信も無い不動産所有者様に、不動産価格査定書を送付した場合、他社との交渉における「たたき台」とされる恐れはある。しかし、不動産一括査査定サイトからお問い合わせ下さった方は所謂「今すぐ客」である可能性が低い為、「真剣になって頂くきっかけ作り」が必要となる。従って、たたき台となるリスクはあるものの査定書を送付すべきと考える。

2.(誤)不動産所有者様へのご提案冒頭で不動産価格査定書を提示してしまうと、徹頭徹尾「価格の話」になる事が多い。これでは、仕入れ営業にとって最も大切な「売却理由のヒアリング」が中途半端になる可能性が高い。売却理由を入念に聞き出す為にも、最初に査定書を提示する事は控えるべきである。

3.(正)不動産所有者様へ査定書を送付する場合は、メールと郵送の両方で行うべきである。メールでの送付は「スピーディな提案」という観点からは効果的だが、査定書自体がメーラーの中に埋没する危険があり、将来読み返して頂ける可能性は低い。
その点、綺麗に製本された分厚い査定書を郵送すれば、その査定書を保管して頂ける可能性が高くなり、将来の「復活問い合わせ」にも期待出来る。
よって本肢の記述は正しく、本肢は本問の正解肢となる。

4.(誤)「査定書など作成しない方が受託(買取)し易い」という一面がある事は否定しない。しかし、肢3の解説でも述べた通り、綺麗に製本された分厚い査定書を不動産所有者に保管頂く事により、「復活問い合わせ」に繋げる努力も大切である。
「査定書を作成しないで受託(買取)する」と聞けば格好良い気もするが、この方針では一期一会の受託(買取)しか期待出来ない。
やはり、基本通り査定書は作成すべきと考える。

【参考記事】
不動産価格査定書は、作っても「見せずに受託する」ことを目指す!(2017年11月01日公開) ・不動産価格査定書で売主に提案するタイミングとは|不動産価格査定書の作り方(2018年07月04日公開)

「不動産査定価格は2000万円~2300万円です」←この提案は最悪です。(2019年09月04日公開)

不動産価格査定書を月に何件作成すれば媒介が取れるのか?|月に2.5件の媒介を獲得する営業活動(2020年08月12日公開)

※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。

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