毎週木曜日配信 さんきゅう倉田「そのニュースに課税します!」
不動産や住宅と深い関係がある税金。
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属、元国税局職員のさんきゅう倉田さんが、税金に係わるニュースについて解説します。
今回は、オリンピックやパラリンピックにて、メダリストに支給される報酬金には税金がかかるのか?という疑問に答えていただきました。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=写真AC)
元国税局職員 さんきゅう倉田です。
親戚の子供へのお年玉は『ビットコイン』であげてます。
今年7月、「世界111の国・地域の高校生らが参加した、第58回国際数学オリンピックで、日本代表の6人全員がメダルを獲得した。」というニュースがありました。調べたところ、数学オリンピックには賞金がないようです。賞金がなくとも、名誉のためだけに頑張る子どもたちの姿は美しいですね。いっそのこと賞金を1,000万円くらいあげて、「あなた達の才能と努力には価値がある」ということを、早い段階から知ってもらったほうが良いのではないか、なんて考えてました。
では、本家のオリンピックでは賞金はどうなっているのでしょうか。
オリンピックでは、メダルを獲得すると、日本オリンピック委員会(JOC)から金メダルの場合500万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円の報奨金が貰えます(パラリンピックは、金メダル150万円、銀100万円、銅70万円)。それ以外にも、水泳ならオフィシャルパートナーと日本水泳連盟、陸上なら日本陸上競技連盟、レスリングなら日本レスリング協会からの支給があります。柔道には金銭的な支給はなく全日本柔道連盟から、「おめでとう」の言葉だけが支給されます。
これらのお金には、所得税が課税されるのでしょうか。
所得税法の非課税所得の項目には次のように書いてあります。
「オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会JOC、財団法人日本障害者スポーツ協会その他これらの法人に加盟している団体であって政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するもの」
難しく書いてありますが、要するに「JOCと、JOCに加盟している団体からもらえるお金は、非課税となるよ」ということです。また、オリンピック競技になっているスポーツの団体のほとんどがJOCに加盟していますので、報奨金としてもらえるお金は、概ね非課税となると考えられます。
しかし、大会名が「オリンピック」「パラリンピック」と明記されています。つまり、それ以外の世界体操や世界フィギュア、世界陸上、サッカーワールドカップといった、どれだけ大きな大会であっても、その賞金や報奨金には所得税がかかります。所得税の区分は「一時所得」です。一時所得には50万円の控除がありますので、年間で50万円を超えたら申告が必要です。
イナバウアーができても、世界一足が早くても、R-1で優勝したとしても、所得税からは逃れられないのです。