今回は、相続対策をハウスメーカーにお願いした場合を考えていきたいと思います。
今、コマーシャル等を使って、最も相続対策に力を入れているのは、ハウスメーカーではないでしょうか?
ハウスメーカー営業力はすごいです。先日もあるご高齢の女性が、借金をしてアパートをハウスメーカーに建ててもらって、相続対策になったわと喜んでいました。
私はそれを聞いて、今のうちは良いけれど、5年後、10年後大丈夫なんだろうか!?と不安に思いました。
まず、ハウスメーカーの営業の仕方を考えてみましょう。
彼らは、更地を持っている地主さんに特にアプローチします。アプローチの仕方は、
「更地にしていると固定資産税が6倍取られていることになるのですよ。もし、弊社でアパートを1億円借金して建てると、固定資産税は安くなるし、相続税も貸家建付地となり安くなりますよ。さらに、所得税も金利や減価償却費で安くなります。」と言って減税面をアピールします。そして、「もし、今、銀行に預金したら、いくらくらいの金利ですか?かなり、安いですよね!?弊社で1億円のアパートを建てれば、約1千万円の収入になります。つまり、10%の利回りになるのです。銀行に預けるのとどっちが得ですか?」と収入面でもアピールします。毎日のように足しげく通われ、情にもほだされ、高額なアパートを建ててしまうというパターンに陥ります。
本当にアパートを建ててしまって良かったのでしょうか?
ハウスメーカーが提出した事業計画書を良く見て下さい。
数字が良い加減なところがあったりします。酷いものになると、30年間家賃が一定のものがあります。現状、毎年1%平均で家賃は下がっていくと言われています。
また、修繕費が低く見積もられているケースも多いです。それから、空室率なども考慮されていないものもあります。一番わかりづらいのは、キャッシュフローです。収支計算までは、してあって、税金額と税引き後の利益までは、分かるのですが、借入金の返済後のキャッシュフローが計算されていない事業計画書が多いです。
先日もこんな相談がありました。ある広島の地主さんが、銀行とハウスメーカーから5億円借金をしてマンションを建てると相続税も掛からなくなるし、資産価値も上がるマンションを持つことは将来的にも良いからと勧められ、私にセカンドオピニオンを求められました。事業計画書を見てみると、借入金元金を返済するとキャッシュフローが赤字となっているのが、計算して分かりました。そのことを広島の地主さんにお伝えするとこの計画をお辞めになりました。
皆さんもアパートを計画する際には、ご自身で慎重に計算されるか、きちんと判断できるプロに一度、ご相談下さい。