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ベェイシック・出川久敏社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)



―不動産会社・入居者、双方にリーチしているサービスなんですね。

私はこれまで9~10社ほど不動産会社を経験し、経営もしました。2009年に千葉県の柏市で立ち上げて、最終的には4店舗を展開したんです。

1期目の売上は3,600万円、2期目は9,000万円と増え、3期目になって賃貸をやりたいという社員が入社し、賃貸事業を始めました。

経営を通じて、効率化を考えた時に「ITで不動産業界を変える」というビジョンが見えてきました。

LIFULL HOME’S代表の井上高志さんの会社紹介に元部下がおり、その当時の会社案内を見て「この人は凄い人だ」と感じたと同時に共感したことを覚えています。かねてよりITは重要視していて、メールの返信ひとつ取ってもスピード感が大切だと思っていましたから。

当時、私の会社はITやポータルサイトをかなり活用して成功し、売上5億円を数年で達成しました。一方で、その流れについて行けない会社がたくさんあった。それで、後発の自分の会社が一気に大きくなったんです。

アルバイトも含め(グループ会社込)100人ぐらいの規模になったとき、ふと「不動産会社がポータルサイトにかける広告費があまりにも高いこと」に違和感を持ちました。また、支店を視察すると、打ち込み業務で手一杯になっていて、来店しても挨拶もしない社員がいることや、いかにおとり物件を作るかを考えるといった悪質な商習慣にも目に余るものがありました。

普通に、不動産屋の集まりで新しいおとりの作り方を楽しんで話しているんですよ。がっかりしました(笑)。

高い広告費や打ち込み作業、おとり物件などはおとりを作れる裏ワザがある全てポータルサイトが元凶です。そこからポータルサイトを疑いはじめました。

不動産業は人付き合いと知識力のビジネスだと思っています。

私は管理・賃貸・売買・収益など、ほとんどの不動産に関わるビジネスを経験し、それらを一元化した不動産会社をやりたいと思っていました。そう思ったとき、従業員が打ち込み作業に忙殺されて、地主開拓や不動産の改善提案に動けない事に疑問を思ったのです。

ベェイシック・出川久敏社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)

―ポータルサイトによって、大切な業務が奪われていくような感覚ですね。

そして、2016年に「カリヨッカ」というサービスを開始しました。

ポータルサイトの物件情報を自動収集し、名寄せをすることによって、現場が契約した物件をまとめると、おとり一覧ができるんです。その一覧によって、おとり物件かどうかをチェックするサービスでした。

すると、凄い数のおとり物件があることが分かりました。物件情報の上げ下げや、1つの物件を3つの情報にするといった、いわゆる悪意のおとり物件や、掲載下げ忘れなど様々な原因です。

賃貸業務では業務量を考えても物件の下げ忘れは起こってしまうんですね。新規物件打ち込みが重要だという考え方もあいまって、どうしても優先順位が下がってしまいますから。

―おとり物件のチェックサービスを作ったのですね。

「カリヨッカ」は、1市1社限定で不動産会社に加盟してもらうことを構想していました。1エリア1社限定でおとりチェックをしてくれる不動産会社が増えて、おとり物件を排除する地域が増えていけば良いと思っていましたから。

しかし、2016年に「カリヨッカ」をリリースして、自社のおとり物件ゼロにすると、売上が前年の60%に落ちてしまったんです。

「カリヨッカ」はスマホにも対応していて、チャットでお客様とのコミュニケーションもできました。案内依頼や気になる物件を調べて欲しい等チャットを送ってもらっても、おとり物件ばかりで「ありません」しか返信できない。専属のスタッフも大変でした。物確などの作業もあり、かなりの労力が必要となっていました。

その時期、ポータルサイトが口コミの多い不動産会社には掲載順位を優遇するといった施策をはじめました。しかし、実際に口コミを書き込んでいるのはスタッフのみ。他にも、360°カメラが送られてきて、パノラマ画像を載せないと上位に掲載されないといったこともありました。これって、不動産従事者にとっては無駄なことばかりだったんですね。

各ポータルサイトも、おとり物件排除を謳っていましたが、一向に減りません。ポータルサイトが「おとり物件をなくす」と宣言し、それに共感して「カリヨッカ」をリリースしたのですが、ポータルサイトは様々な業務負担を不動産会社に強いるのみで、何も変わりませんでした。

>>次のページ:おとり物件を排除すると赤字!ポータルサイトの弊害(3ページ目)

 
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