不動産仲介会社の転職組のなかで、成功する確率が高いかもしれない前職とは?

賃貸仲介ビジネスは大きく変化しています。賃貸仲介業領域を得意とするコンサルタントの南智仁さんが、賃貸仲介の現場で繰り返される新しい風景を独自の視点で伝えます。(リビンマガジンBiz編集部)

 

画像=写真AC

 

1000人弱の面接経験で見えてきた不動産転職で成功する傾向

 

これまでさまざまな中途入社のかたを面接してきた。自分自身が管理職のために実施していた時もあれば、コンサル先でご依頼を受けて実施する時もある。おそらく1000人に少し届かない程度の面接をしているだろう。

面接官の役割をひたすら経験すると、応募者の適性や性格みたいなものが、かなり敏感に察することができる。長年、人事部署にいて、採用活動をしている人は、「応募者の本質を見る目がある」とよく言われるが、つくづく同意する。人に会えば会うほど、採用スキルも上がっていくのは、間違いないようだ。

不動産業界に限定すると、他の業界よりも、過去、多くの応募者のかたとたくさん会った。もしかしたら世の中の大半の業種のかたとお会いしたのではないだろうか。大手の不動産会社様の面接を、お手伝いをした時は、大手企業のバリバリのエリートのかたがよく応募されていた。金融系やコンサルシンクタンク系など、いかにも頭のキレそうなかたから、同業の大手不動産会社からの転職希望者も多かった。

またいっぽうで、小規模の仲介会社様の面接は、大手不動産会社様のそれとは感触が全く異なっていた。応募者の職種も多種多様で、スキルもてんでバラバラだった。元ホスト、元保育士、元飲食店販売員、元メーカーのルート営業、元保険外交員、とにかくさまざまな背景を持つ人達が応募をしてきた。大手不動産会社様の面接よりも、小規模の仲介会社様の面接のほうが、楽しかった。とにかく応募者の方の前職の業務内容や経歴を聞くのが、興味深い。世の中には多くの仕事があり、多くの個性的な企業があることを、さまざまなかたと話しながら、実感した。

さて、こうしたかたがたを沢山面接し、さらに育成もフォローしていくと、少しずつ面白い傾向が見えてくる。それは、仲介会社に「向いている」前職種と、そうでない前職種がなんとなくわかってくることだ。勿論、こうした傾向に当てはまらないかたもいらっしゃるが、それでもあくまで「傾向」として、浮かび上がってくる。
 
一般的に不動産仲介業務はコミュニケーション能力を持っていることが有利だと言われる。たしかにそうだ。とにかくユーザーの要望をヒアリングし、そして最適な物件を提案するためには、それ相当のコミュニケーション能力が必要になるだろう。そう考えると、前職が夜職のかたなどは、向いているように見えるかもしれない。たしかに夜職のかたのコミュニケーション能力は、圧倒的に高い。

しかし、あくまで私が感じた傾向としては、こうしたかたが継続的に成果を出すことができるかと言われれば、なかなかそうではないことが多い。短期的な売上を伸ばすことのできるかたは、とても多い印象だが、これを継続していくことができるかたは、とても少数だと感じる。割と不動産仲介業務は、地味な作業が多い。契約手続きの調整もあれば、物件掲載業務などもあったりする。そして当然のことながら、毎日決まった時間に業務を開始する。コミュニケーション能力だけではなく、それを推進する能力も必要になってくるのだ。そうしたことを実行しながら、業務を継続していく能力のある前職が夜職のかたは、とても優秀だと感じる。

 

イレギュラーな事態への対応力が活きる前職とは

 

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また、飲食店での仕事もコミュニケーション能力が求められる職種のひとつだ。明るい挨拶や対応、その場の顧客とのコミュニケーションなど、諸々の対応能力が求めれられる仕事のひとつである。

では、前職が飲食店勤務のかたは、不動産仲介業務に向いているだろうか。これも当然、一概には言えないところだが、私の経験上、あまり相性は良くなかった。

大型の飲食店やカフェなどは、細かい接客マニュアルが準備されており、しっかりとした育成を受ける。ある程度のイレギュラーの要求が飲食店の顧客から来ても、対応できるようになっている。

いっぽうで仲介業務は、マニュアルはあるものの、そこに収まらない対応がかなり多く求められる。また飲食店の場合、提供されるメニューは、ほぼ固定されているが、仲介業務の場合、ひとりひとりのユーザーに対して提案する物件は異なる。

よく見た光景として、最初の挨拶や会話などの顧客対応は完璧なものの、物件の提案になると、急に手詰まりになるかたが多かった。

このように前職の経験が活きることもあれば、新しくマインドをセットし、スキルを身に付けなければいけないこともある。これは不動産仲介業に限ったことではなく、他の異業種にチャレンジするかた全てに当てはまることなのかもしれない。

ちなみに、私が見たなかで、かなり仲介業務と相関性が高く、売上成果も出しやすい傾向にある職業は、元美容師さんである。ルールに則った接客対応をしながらも、細かい顧客の要望を叶えていくという行為は、確かに仲介業務に近いのかもしれない。しかも、業務自体が体力勝負的な要素もある。継続的にコツコツと積み上げていくスキルを活かせることも、仲介業務と非常に共通している。

勿論当然のことながら、こうした傾向は、あくまでひとつの「傾向」である。新しく不動産業界に入ったかたで、前職と相関性が無くても大きな成果を残すかたも多数いらっしゃる。
不動産会社としては、どんな前職であろうとも、きちんと成果を残せる育成体制を整えていくことを忘れてはならないのだ。

 
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