不動産営業における得意、不得意のユーザーについてのはなし

賃貸仲介ビジネスは大きく変化しています。賃貸仲介業領域を得意とするコンサルタントの南智仁さんが、賃貸仲介の現場で繰り返される新しい風景を独自の視点で伝えます。(リビンマガジンBiz編集部)

 

画像=写真AC

今年もそろそろ終わりが近づいてきた。この時期になってくると、いよいよ不動産賃貸市場も繁忙期の雰囲気が漂い始める。今年はどのようなトレンドなのだろうか?無事、管理物件は埋まるのだろうか?予算は達成できるのだろうか?不安と期待が入り混じった忙しい季節が始まる。

さて、繁忙期といえば、業務で忙殺されるのは、なんといっても仲介メンバーである。この時期の営業成績が、彼らの1年の成果の大半を占めることは間違いない。そういった意味でも、年が明けた1月から4月の中旬頃までは、なんとしても成果を出さなければいけない。

そうはいえども、営業メンバーにとって得意、不得意のユーザーというものも存在する。本来ならば、こうした忙しい時期は、どんなユーザーでも確実に申込を獲得しなければいけないのだが、何故か特定のユーザーに対して、それができないことがある。

私自身、長く仲介の現場にいるが、ある時、こうした得手不得手をほとんどの仲介営業メンバーが持っていることに気付いた。これは、なぜなのだろうか?

そういえば、以前、この「営業メンバーの得手不得手」をうまく利用して、店舗運営を実施している不動産店舗の店長がいた。

その店舗は、男性4名構成の店舗だった。とあるメンバーは、法人の転勤者が得意。また、あるメンバーは、若い女性が得意。さらに別のメンバーは同世代の同性が得意。そしてとあるメンバーは、30〜40代ぐらいの単身者が得意。このようにメンバーによって、それぞれの得意な顧客領域が異なっていた。

その店舗の店長は、こうしたメンバーの得意領域を見抜き、反響段階からユーザーに上手くヒアリングを行い、ユーザーの想定を行い、その想定ユーザーを得意とする営業メンバーに担当を割り振っていた。

結果的にこの取り組みは、功を奏し、常にその店舗は、トップの営業成績だった。しかし、当然のことながら、このような取り組みを実行するためには、各メンバーへの理解と戦略の浸透が必要になる。残念ながら、このシステムは、そこまで長く継続することができなかった。

このように得意不得意は、メンバーによって種々様々である。営業技術というよりは、それぞれのキャラクターも起因しているだろう。

しかし、長らく不動産仲介の現場に接していると、こうした得意不得意の傾向に、なんとなく統一的な傾向があることに最近、気付いた。
 
それは、「自分より少し年下の世代」の成約率は往々にして、どの営業スタッフも高い、というものである。言い換えれば、「自分より少し年下のユーザーは、ほとんどの営業メンバーが得意」なのだ。

たとえば、27〜30歳ぐらいのメンバーは、新卒や第二新卒の20代前半から中盤の顧客の接客が得意である。また30代中盤のメンバーは、30代前後のカップルや新婚、さらに30代前半の法人顧客が得意だったりする。

かなり当てはまっているのではないだろうか?

逆にこの「自分より少し下の世代」が不得意な不動産営業メンバーは、見たことがない。仮に存在したとしても、別業種に転職している筈だ。
 

 

不動産営業の成功率はお客様との年齢差で決まっている!?

よくよく考えてみると、賃貸であれ売買であれ、不動産を選ぶことは、人生の大きなイベントのひとつである。そうした時に、「経験者」や「人生の先輩」のアドバイスは、かなり影響を与えるはずだ。ただ、そうはいえども、あまりにも年齢差があると、「世代ギャップ」が生まれてしまい、なかなか素直に聞く気にはならない。だからこそ、こうした「少し自分より年上の年齢」である営業メンバーの声が、耳に届きやすいのかもしれない。

また、さらにこのあたりを掘り下げて考えていくと、賃貸仲介のユーザーは、おもに20代がメインターゲットだ。そうすると、一番成約率が高いのは、20代中盤か30代前後のメンバーかもしれない。

また、メンバーの年齢が上がってきた際は、たとえば高額層のユーザーをターゲットにするようにシフトチェンジしたり、法人の転勤者への集客にシフトしたりする施策を実行してみるのも面白いだろう。
 
いっぽう売買営業は、当然、少しターゲットの対象年齢が上振れてくる。住宅購入の年齢層を考えると、メンバーの年齢が40代前半頃が、一番提案が刺さるベストな世代なのかもしれない。想像しやすいかもしれないが、20代前半の営業メンバーだと、どうしても頼りなく見えるのかもしれない。

最近、不動産仲介の営業向上施策として、様々なツールが販売されている。これはこれで、どれも使い勝手が良いし、上手く使えばそれなりに営業成績は上がるかもしれない。しかしながら、実際ツールを使うのは、人間である。営業メンバーのパーソナリティを考慮したものでなければ、上手く効果を発揮できないかもしれない。

また、少し前の話だが、過去、とても優秀な成績をおさめた不動産賃貸営業メンバーを集めた店舗を立ち上げた会社があった。一見すると、早々に数字が上がりそうな気がするが、全く成果が生まれず、早い段階で、その店は撤退した。

その当時は、失敗の要因が特定できず、全員首を傾げていたが、もしかしたら、前述したメンバーの年齢などの根本的なところが原因だったのかもしれない。残念ながら、その当時、優秀だったメンバーは、現在は歳を取ってしまっていた。。以外とそんなことが原因だったのかもしれない。

このように、仲介の成約率を上げることは、単純な計算式では成り立たない。細かいメンバーのパーソナリティや、諸々の要因が複雑に起因しているのである。

現場、成約率に関して、頭を悩ましている管理職のかたは、フラットな姿勢で現状を見てみても良いかもしれない。思わぬところに原因があることも往々にしてあるのだ。

 
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