不動産業界のキャリアの歩き方

 

画像=フォトAC

 不動産業界では、同じ会社に入社から定年まで所属し続けるというキャリアは、非常に稀である。おそらく新卒で大手不動産会社に入社した人、または、よほど気の合った創業メンバーとともに不動産会社を立ち上げた人ぐらいしか、こうした例はないだろう。それほど、業界内では転職が当たり前になっている。また、それに対して、特にネガティブなイメージを持つ人は少ないように思う。かといって、ポジティブなイメージもない。つまり「そういうもの」なのだ。転職し、スキルや報酬を上げようと考えるのは、不動産業界内の常識なのである。

 今回は、他ではあまり触れられていない「不動産業界のキャリアの歩き方」についていろいろと考えてみたい。

最強キャリアは、「大手経験」と「ベンチャー経験」の両方の経験者

 不動産会社の大手で勤めてみても、その会社のみの就業経験だと、その環境の良さを実感することはできない。離れてみて、はじめてその待遇の良さや恵まれた環境に気づくものだ。たとえば、大手では、何もしなくても、反響が獲得できる。また、そもそもユーザーの信頼度も高いので、反響確度も高く、営業もやりやすい。
 いっぽう、ベンチャー、零細企業ではそうはいかない。自分たちでイチから仕入れをして、集客をしなければいけない。ひとつの反響の有り難みをより深く理解しているのは、間違いなくベンチャー系の不動産会社である。
 では、どちらの経験が役に立つかと言われれば、これは両方の経験をしておくことが、一番強力な武器になるだろう。まず大手にいると、「会社のルール」「事業の全体理解」「仕組み化」が身に染みて、理解できる。このような大企業の経験は、ベンチャー企業を大きくする時に、大いに役に立つ。なかなか大きい会社に実際にいなければ身につかないことがある。知識だけでなく、自分の「血肉」にならなければ役に立たないことも多いにあるからだ。
 また、逆に、ベンチャー系にいると、ひとつひとつの現場の不動産業務に精通していくことができる。大手だと業務が細分化されているが、ベンチャーだと先に述べたように全て自分で行われなければならない。これは、将来独立する際や、転職した際にも、相当役に立つ。基本を理解したり、オールマイティな業務を経験したりすることで、さまざまな場面で応用が効く。

 大手からベンチャー系に転職し、徐々に管理職になっていくと、大手時代の「仕組み化」などを思い出し、実力を発揮する人がいる。また、ベンチャーから大手に転職した際に、前職のキャリアを買われて様々な新規事業の立ち上げを任せてもらえるようになる。まさに「それぞれの利点」をどう活かすかが鍵となるのだ。

 キャリアを重ねていくと、法務的なスキルと、マーケティング的なスキルが必要になってくる

 売買系であれ、賃貸系であれ、キャリアを進めていくと、「法務的な知識」が必要になることが増えてくる。取引において生じたトラブルを解決するため、法律的な知識がないと、太刀打ちができなかったり、大きな落とし穴に落ちたりすることがある。営業力も重要だが、キャリアを重ねると、意外とこうしたリスク回避が図れる知識が役立つ機会が多くなる。当然だが、宅建は取得しておかなければ、相当厳しいだろう。
 また、マーケティングの知識も、これから重要になるだろう。「マーケティング」というと、難しく感じるかもしれないが、要は、「集客能力」である。今までは、「営業力」の強い人間が、重用されていたが、これからは違う。「集客力」のスキルのある人間こそが、不動産会社に必要な人材なのだ。

なるべく同じ業種のほうが長期的に見たらキャリアが明るくなる

 賃貸仲介、賃貸管理、売買仲介、投資系など、不動産業界内でも様々な業種が存在している。なるべく多くの業種を経験したほうが一見良さそうは気もするが、長くこの業界を見ていると、ひとつの業種を突き詰めた人材のほうが、キャリア的に明るくなっている印象である。
 世の中の不動産会社が欲しい人材は、「なんとなく知識のある人間」ではない。その業務内容を知り尽くしている「プロ」である。まずそのプロを目指し、ひとつのことを突き詰めてみても良いのではないだろうか。
 たしかに、隣の芝生は青く見えるように、他の業種のほうが魅力的に見えるし、長いキャリアのなかで、冷や飯を食う可能性もあるが、ここは踏ん張って突き詰めてみるのも手だ。
 

 「スジ」を通さないといけない世界である

 新しい集客手段で顧客を獲得したり、新しい営業ルートから案件を獲得したりすることができるのであれば、自身で独立しても特に問題ないが、これが、前職と同じ手段、同じルートで、顧客を引き抜いてからの独立だと話は変わってくる。
 不動産業界は、参入障壁の低い業界だ。誰でも、わりと楽に独立することができる。しかし、前職のリソースをそのまま、猫ババして独立しようとすると、これは、かなり揉めることになる。
 独立するならば、このあたりの問題をクリアして、しっかり「スジ」を通していかなければならない。
 人脈は、不動産会社では命の次に大事なものだ。顧客の人脈を優先させ、同業者の人脈を軽視すると、思わぬしっぺ返しが来ることが多い。

 不動産業界は、非常に特殊な業界だ。当然、そこで働く人も個性的な人が多い。たとえば、製造業などで働く人たちとは、同じ人間とは思えないぐらい、仕事の考え方などが異なる。
 ただ、ひとつ言えるのは、「やろうと思えば、ある程度までは結果が出やすい」業界であることは間違いない。他の業界でパッとしなかった人が、不動産業界で華が開いたケースを何度も見てきた。
 努力次第では、大きな成功を収めることもできる。あくまで今回紹介したのは、ひとつのキャリアの参考例だ。自分独自の道で、ぜひ「最強」を目指してみて欲しい。

 
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