仲介会社が心の中で叫びたい。「こういうお客様は勘弁して欲しい」

賃貸仲介ビジネスは大きく変化しています。賃貸仲介業領域を得意とするコンサルタントの南智仁さんが、賃貸仲介の現場で繰り返される新しい風景を独自の視点で伝えます。(リビンマガジンBiz編集部) 

 

画像=Pixta

不動産仲介というビジネスは世の中に必要なのか

以前もこちらのコラムで書いたが、「不動産仲介業務というのが世の中に必要かどうか」という議論は、本当に無くなる気配がない。また、「仲介手数料は必要か否か」の議論も同様である。興味深いのは、こうした話題は少なくとも20年前から存在しているのにも関わらず、実際に仲介業は、未だ存在している。

とはいえ、今後の仲介業を、事業として考えると、年々厳しくなっていくだろうことも事実である。ひとつは、同業者での競争力の激化。そしてもうひとつの要因は、ユーザーのリテラシーの向上によるものであろう。以前とは異なり、同業者他社との激しい競争とユーザーの厳しい要求に耐えながら不動産会社は仲介事業を進めていかなければならない。

ちなみにこうした現状の仲介業務を日々行うなかで、「こういう要望は勘弁して欲しい」、「こういうことを要求するユーザーの対応はしたくない」と不動産会社が、心の中で思うことは、当然ある。とはいえ、あまりこういったことは大きな声では言えないし、何よりも上記に述べたように、事業の存続のために、ぐっと歯を食いしばりユーザー対応をしなければならない。

でも、とはいえ、そうはいっても、やはり「こういうお客さんは勘弁してほしい!」、と声に出したいことはあるだろう。今回は、「こういうことを要求すると、仲介会社から嫌われますよ」というユーザーの事例を紹介したい。この記事を読まれている不動産会社のかたは、頷いて頂くところも多いのではないだろうか。

 ・「不動産会社の知り合いに聞いたんだけど」と知人、友人に不動産会社お勤めのかたがいることをアピールするユーザー

これは初期費用の値引きの交渉などで、よく言われる。知人の不動産会社とは、誰の、どの会社のことだろう?ちなみに私も長い期間、この業界にいるが、初期費用や手数料の割引の件のみを質問してくる知り合いは、いない。知り合いが部屋探しをする場合は、直接部屋探しを依頼するか、それとも全く頼まないかのどちらかだ。「ちょっと初期費用の件で、聞きたいんだけど」と言われたことは、全くない。

しかし、世の中には、不動産会社勤務の知人がいるかたが、かなり多いようだ。それにも関わらず、知人に質問される不動産会社の人間を見かけないのは、なぜだろう?

 ・「この物件、事故物件ですか?」と頻繁に質問をするユーザー

最近では、告知物件を紹介する場合、かなり気をつけて物件紹介を行っている。管理会社としても、かなり前に発生した事故案件も、仲介会社に知らせることは多いのである。「この物件、何かありましたか?」と聞かれると、思わず辟易する不動産会社は多いのではないだろうか。

当然だが、「何かあった」物件は、必ず伝えるようにしている。

 ・「問い合わせ物件と似たような物件紹介できますか?」と要望するユーザー

この「似たような物件」の定義が全くわからないケースが多い。不動産会社が思う「似たような物件」と、ユーザーが考える「似たような物件」の認識が、ぴったりと共有できるのは、非常に稀である。

たとえば、条件をそれなりに指定頂くと、かなり不動産会社側からも的確に物件を提案できるが、「似たような条件」というふわっとした要望だと、手が止まってしまう。

不思議なもので、「どのような物件をお探しか、詳細条件を教えてください」と質問すると、全くユーザーからの返信が無くなってしまうケースが多いのも、謎のひとつである。

 

 

「だからどうした?」意味のないマウントをとりたがる客

 ・「以前、不動産会社に勤めていて」と冒頭から伝えるユーザー

 「以前、不動産会社に勤めていて」と問い合わせの初期段階から、聞いてもいないのに、自分のキャリアを伝えるユーザーがいる。この言葉を聞いた瞬間に、不動産会社の営業メンバーの頭には、黄色信号が灯る。

そもそも本当に以前、同業者だったユーザーの場合は、あまりこういうことをカミングアウトしない。また、よくよく聞くと、不動産会社には勤めていたものの、全く別ジャンルだったりするケースが多い。

単純に不動産会社は、こうした「元経験者」のユーザーに便宜を図らない。寧ろ、そのユーザーは警戒されるのがオチなのだ。マウントを取ったところで、何もならないのである。

 ・内見の当日キャンセル

これは、本当に多いのではないだろうか?酷い場合は、当日、何の連絡もなく、ドタキャンである。本来ならば、ホテルなどのようにキャンセル料を頂いても良さそうな気もするが、宅建業法の絡みや慣習などがあり、なかなか請求しづらいものがある。しかし、この当日の内見キャンセル、特に土日などでそれが発生すると、正直とても困る。不動産会社も、貴重な時間を割いているのだ。勿論、体調が悪くて内見をキャンセルするのは、致し方ない。それでも、やはりなるべく早くキャンセル連絡は頂きたいものだ。
 
 ・必要以上の内見を希望するユーザー

10件、20件、内見するユーザーがたまにいらっしゃるが、限度がある。そもそも2桁内見すると、最初に内見した物件は殆ど記憶に残っていない。また、数件内見すると、ほとんどのユーザーは、自分の好みや傾向などがわかってくる。そうすると、だいたい複数物件内見の予定を打ち止めすることが多い。

それでも継続して内見するのは、もはや趣味である。残念ながら不動産会社がそれに付き合うのは、なかなか酷である。

たまに、こういったユーザーの内見に立ち会うと、絶望的になることがあるだろう。できれば一件、一件真剣に検討してほしいのが、不動産会社の本音である。

今回紹介した、いずれのユーザーも悪気はないのかもしれない。しかし不動産仲介会社としては、こうしたユーザーから連絡や問い合わせが来ると、なかなか頭を悩ましてしまう。また、上記のユーザーに上手く対応して、沼にはまらないような柔軟性を持っている会社は、売上が安定しているような印象を受ける。

少し危険の匂いのするユーザーには、フラグを立てて対策をしても良いかもしれない。なんといってもまだ仲介業務は、しばらくは完全に無くなる気配も無さそうだから。

 
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