中古の不動産を売買する場合に、どうしても売却価格を高くしたいと思いますよね。とは言っても、築年数が古ければ、価格は低くなるという商習慣はあります。いざ、売却と決断したとしても、査定価格を聞いてそんな価格にしかならないのかと思ったオーナーさんも少なくないと思います。
物件を購入した際の価格より、売却の価格を高くして売りそこから得られる利益をキャピタルゲインと言います。不動産投資が過熱になっている現状で、このキャピタルゲインが狙えるという雰囲気がオーナーさんを売却へと誘います。
ただ、現状はそんなに甘くないですね。キャピタルゲインの狙える物件は、地域や築年数などで限られ、全国どこでも通用する話ではありません。
そこで、物件の現況に少し手を加える、いわゆるリフォームをして価値を上げてから売却するというオーナーさんが出てきています。今回は、投資物件をリフォームして売却する物件についてお話しします。
売却予定の物件をリフォームするなんて勿体ないという考えもあるかもしれません。しかし、投資物件であれ、自己使用の物件であれ、所有をしていれば何かと現況を維持していくためにお金をかけていると思います。手を加えるそのタイミングが売却前ということになるだけです。それにより売却価格が高くなったり、買い手が早く見つかったりする場合もあるので、売主側のオーナーにとってみれば費用をかけてやる意味はあります。
では、どういうリフォームを行うことが売却につながるのでしょうか?建物の外観(外壁、屋根、共有部分)、水周り(キッチン、トイレ、洗面、お風呂)、各部屋の内装と工事をしようと思えば、手を加えるところはたくさんあります。その中でも、売却予定ということを頭に入れて、物件が公開された場合に、買い手が見ることが出来る場所をリフォームすべきでしょう。
私の経験で言えば、建物の外観をリフォームした物件が売却で成功していることが多いかなと思います。築年を経ていけば、外壁や屋根は色あせし、建材をつなぎ合わせた目地部分も劣化しているので防水機能も落ちてきています。この部分の工事は、見た目を新しくさせることが出来るので、築年数よりは新しい印象を買い手に持ってもらえます。また、中古物件、特に築年数が10年から20年の物件は修繕工事を行う時期にあたります。買い手にとってみれば、購入後すぐに修繕工事をしなくてはならないのかどうかは物件の購入判断に影響する項目です。購入時にこういった工事が終わっていれば、費用負担の面から買いやすいと判断するわけです。私のお客様が言っていたことですが、「よく手入れをされていますね。この物件のオーナーさんの思い入れを感じますね。こういう物件がほしいです。」と好印象を買い手に与えることが出来るのです。
一方、内装のリフォームを行って入居希望がつきやすい部屋にしてあげることで、売却価格を上げていこうとする場合もあります。オーナーさんが、その時点で流行の設備や内装に部屋を新しくしていくことで満室にして売りたいという場合によく行われます。こういうやり方も間違いではありません。しかし家賃の値上げなど工事以外にやらなくてはいけないこともあり、それをやらないと売却しにくくなることがあります。特に、投資物件で賃貸している場合には、空室の部屋しか工事が出来ず、全てをリフォームするには時間と費用がかかりますので、物件売却を短期で考える場合には向いていません。
お金をかけてリフォームをするため、オーナー自身のためになるようにと考えがちですが、買い手の立場に立って手を加えることが良い結果を生み、最終的にオーナーの利益につながっていくことと考えた方が良いですね。