こんにちは、

ファイナンシャルプランナーの澤田朗です。

今回は、前回に引き続き

借地権についてのお話です。

これから私のクライアントと、

借地権者の相続人との話し合いが

始まることになりますが、

幸い私の知り合いの不動産業者さんが
借地権売買の知識をお持ちで、

間に入ってもらい交渉を進めることになります。

まだ49日も過ぎていないことから
本格的な話はその後になりますが、

先日、借地権者の相続人の方から

「地代の支払いを1年間猶予してほしい」

という要望が来たということです。

相続人の方は別の場所に自宅をお持ちで、
その場所に住む予定は恐らくありません。

手元にある借地契約には

「空き家にしない」「遅延無く地代を支払う」「勝手に建て替えなどをしない」

等の条項があり、

該当した場合には契約解除ということになっていますが、

前回お伝えしたとおり借地権者側の権利が強く、

該当したからといって即解除というわけにはいきませんし、
相手の心証を悪くしては今後の交渉事にも影響してきます。

家の中の整理にも時間がかかりますし、
1年という期間に他意は無いのかもしれませんが、

まずは、

「なぜ猶予期間が1年間なのか」「1年後も借地権を保有し続ける意向なのか」

を49日が終わった後に確認する作業から始めることになります。

ちなみに借地権は地主にではなく、
他の第三者に売却することも可能です。

例えば相続人の方ができるだけ高値で
買い取ってくれる業者を探して売却することも可能となるわけです。

原則地主さんの承諾が必要となりますが、
承諾しない場合にも、

第三者が借地権を取得しても
地主に不利となる恐れがない場合

(反社会的勢力や産廃業者等に売却をしないで地主や近隣に迷惑をかけない、等)

には、

裁判所に対して地主の承諾に代わる
許可の申し立てを行うことが可能となっています。

ただ、借地権者がこのような行動をとった場合、
地主はなす術もなく手をこまねいているだけかというとそうではありません。

このような場合、
地主は裁判所に対して「介入権の行使」を申し立てることで、
借地権を優先的に譲り受けることが可能となります。

その場合、
裁判所が相当の対価を定めて地主への譲渡を
借地権者に命ずることになります。

「相当の対価」は「借地権価格-10%」をベースに
双方で決めていくことになります。

ただこのような事態になると
お互い時間と労力がかかりますので、

借地権者の意向を確認したうえで事前に争い事の芽を摘み取り、
できるだけ円満に借地契約の解消まで話を進めることが大きな目標となります。

「旧借地法」の借地権は借地権者の権利が強固になっていますが、
だからと言って借地権者にとってすべてが有利なのかというとそうでもありません。

建物を建て替える時には地主の承諾が必要となりますし、
相当額の承諾料も払うことになります。

また借地権という権利は持っていても
地代を他人に払い続けることになりますし、

場合によっては更新料も支払うことになり、

自分の土地ではないという中途半端な気持ちを
お持ちの借地権者方もいらっしゃると思います。

今回は土地を貸している地主さんの立場側にいますが、
今後借地権者の方の立場に立って話を進めることもあると思います。

「借地権」というのは、

貸している側・借りている側の双方にとって
何となくもやもやとした存在ですので、

それを解消してクライアントにとって
有益なアドバイス・コンサルティングをすることも
相続の現場では必要になってきます。

 
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