住宅ローン借入時のユーザーと銀行のマッチング率を向上させる

不動産テックに関連する企業経営者や行政機関などに取材し、不動産テックによって不動産ビジネスがどう変わっていくのかを考えてみる。

今回は、住宅ローンサービスを提供しているMFS(東京・千代田区)の中山田明社長に話を聞いた。2019年5月に取材を行った同社、その後サービスや業界の変化はあったのだろうか。(リビンマガジンBiz編集部)

 

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ボタン一つで住宅ローン借り換えができる世界を目指す

 

MFS・中山田明社長 撮影=リビンマガジンBiz編集部

 

―以前の取材では、MFSが提供している「モゲチェック」は、借り換えメインのサービスでした。それから2年が経ち、どのような変化がありましたか。

 

「モゲチェック」は、ユーザーに適した住宅ローンを独自にご案内するサービスです。借り換えからスタートし、現在は新規借り入れでもサービス提供しています。

 

ユーザー登録情報をもとに、審査が通る金融機関かつ最も金利が低い住宅ローンを提示したり、専任のアドバイザーが住宅ローンに関するアドバイスを行ったりしています。

 

サイトでは、借入希望額や自己資金、物件の所在地、年齢を入力すると、その人に合ったおすすめの住宅ローンランキングを表示する機能もあります。他にも、ローンの比較やランキングサイトはありますが、「モゲチェック」ではローンの審査が通るか通らないかまで情報提供しており、ここが大きな優位性になっています。

「モゲチェック」 画像提供=MFS

 

―個人のユーザーが住宅ローンをネットで探すケースは増えていますか。

 

その動きは加速していますね。ローン金利が0.4%台と低い値で収れんしていることもあり、自分でネットで調べて、オンライン上で申し込むケースは今後も増え続けるでしょう。

 

とはいえ、金融機関にひたすら申し込めば、審査に通るというわけではありません。ネット銀行の審査に通るのは、全体の2~3割程度が実態です。どの銀行に通るか全く分からないユーザー側と、審査方法を公表できない銀行の間には、情報のギャップが大きく、ミスマッチが起きています。

 

両者のギャップを埋め、ユーザーと金融機関を適切に結びつけて、審査の効率化に寄与するのが我々の役目です。これまで銀行側の審査結果のデータを1万件以上蓄積してきました。このデータを活かして、個々に適した住宅ローンをご紹介しているのです。

 

 

―「モゲチェック」の他にも、借入可能額を提示するサービス「モゲパス」もありますね。

 

「モゲパス」は、家探しをする人を対象に、不動産会社を紹介するマッチングサービスです。「モゲチェック」での住宅ローンの審査結果から導いたロジックを活用して、借入可能額を独自に算出しています。その額をもとに予算を把握して、提携不動産会社から予算に合った物件提案を受けられるようにしています。

 

ただ、このサービスは正直、思っているような成果を出しているわけではありません。リリースして分かったのは、家探しをしているユーザーは、不動産会社を紹介してほしいわけではなかったということでした。

 

ユーザーのためなのか、不動産会社のためなのか、誰に向けた何のサービスなのか、その軸がブレてしまったのだと感じました。原点に立ち返って、あくまでもエンドユーザーのためのサービス作りをしていこうと考えています。

 

 

―不動産投資分野のローンサービスも基本はエンドユーザー向けですね。

 

そうですね。2021年6月に「INVASE(インベース)」というサービス名に改称しました。もともとは、不動産投資ローンがメインだったのですが、それ以外のサービスも強化しています。

 

不動産投資を始めたい方には、投資可能額を算出し、そこから物件探しができたり、すでに物件を所有している方には、借り換えの判定、収益物件管理、売却査定ができたりなど、不動産投資に関する情報を幅広く提供しています。

「INVASE」 画像提供=MFS

 

―「INVASE」を通して目指しているものは何でしょうか。

 

不動産投資プレーヤーを増やしていくことです。今はエントリーレベルの投資家のハードルが高いと感じています。そもそも物件を所有しているのが個人ではなく業者ばかりです。

 

一般の住宅売買では、個人の売主と買主の間に仲介が入るのが主流ですが、収益物件の売買では、仕入れ業者が物件を買って、不動産会社に売って、個人の投資家が買って・・・と間に入る業者が多く、価格が高騰してしまう課題もあります。こうした収益物件の取引の商習慣を少しでもユーザーにとって良いものに変えていければと思っています。

 

 

―2021年2月には資金調達を実施し、AI技術の開発に力を入れていくとのことですが、どんな構想がありますか。

 

「モゲチェック」のデータ分析精度を高めて、より正確な審査ロジックへと進化させてユーザーと銀行のマッチング率をさらに向上させていきたいと考えています。人工知能に明るいエンジニア採用を強化するなど様々な施策を進めているところです。

 

あとは、サービスの認知を上げるマーケティングも強化していますね。

MFS・中山田明社長 撮影=リビンマガジンBiz編集部

 

―最後に、今後の展望について聞かせてください。

 

現在、「モゲチェック」の月間利用が2,000件ほどなので、直近で1万件を目指しています。そして、ゆくゆくは全体の住宅ローン利用数である約80万件の1割、年間6~7万件の住宅ローン申し込みを創出していくのが目標です。

 

まだまだサービスが進化できる余地はありますし、住宅ローンといえば「モゲチェック」と想起してもらえるように認知度を上げていきたいと思います。

 
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