トリビュート・田中稔眞社長 撮影=リビンマガジンBiz編集部

―現在、営業担当者の登録はどのくらいでしょうか。

約300名に登録いただいています。

また、登録待ちの方が約1,000名いらっしゃいます。「TRG」に登録するには、顔写真と所属している不動産事業者の宅建免許番号を必須にしています。その情報を精査して本登録とさせていただいております。

―登録されているユーザーの属性に傾向はありますか

幅広い方に利用いただいていますね。

地場に根付いた仲介会社の方から大手仲介会社の方、デベロッパーの方ややファンド系の方まで、年齢層も若い方からベテラン社員まで様々です。

「TRG」は、法人が契約して営業担当者に利用いただく法人プランと、営業担当者が個人で登録して利用いただく個人プランを用意しています。

サービス開発の段階から、たくさんの営業担当者にヒアリングを行いました。すると、特に大手の事業者では、担当者は使いたいと思っても、社内の稟議が必要になり、利用できないというケースがあることが予見されました。そこで、すぐ使えるように個人と法人でプランを分けました。

まだまだ300名ほどの利用ですが、既にマッチングが始まっています。

こうした新しいツールに積極的なユーザーはリテラシーが高く、お互い情報に対する感度が高い者同士で交流も生まれやすいようですね。

―法人登録と個人登録ではどちらが多いですか。

個人での登録が多いですね。

ただ、「全社員用に導入します」というお声も数社からいただいていて、例えば100名を超える営業担当者に登録いただく案件が進んでいます。

―業界経験が長いベテラン営業や経営者には、サービスが理解されにくいのではないですか。

現状のやり方で実績をあげている方ですね。そういった方は、どれだけ粘ってもこのサービスの有用性を納得していただけないと思います。

今は、サービスを理解してもらった方だけに「TRG」を利用してもらえれば良いと思っています。若い世代やリテラシーの高い人は、無駄なストレスはいらないと感じていて、共感いただいています。

でも、確かに、まだ様子見の方がかなり多く、「出会い系のマッチングなの?怪しい」と言われることもありますね(笑)。

実際に不動産営業担当がやっていることは「出会い」です。物件ありきの不動産業ですが、取引には必ず人間が携わっています。新しい人間関係を作るとき、事前にある程度ニーズを合致させて出会うことに需要はあります。

―トリビュートでは不動産業も行っています。テクノロジーサービスを提供しようと考えたきっかけは。

営業効率をもっと良くしたい、というシンプルな思いですね。

不動産業界は、自分だけが効率化しても、周りが協力してくれなければ意味がありません。そのため、皆にメリットがあるものを作ろうと思いました。

2017年頃から、プロ同士の出会いはもっとハードルを下げられる、という構想を練り、2018年から開発を始めました。

―自社の営業効率を上げるためには、他社を巻き込んだサービスが必要だった。

また、若い世代とコミュニケーションをとる機会があり、そのなかで気付いたこともあります。

学生に対して「SDGs(持続可能な開発目標)と就職活動」をテーマにした講演を様々な大学で行っているのですが、「今の不動産事業者が行っている飛び込み営業やテレアポ営業を、今の若い世代はできるのか?」と強く感じました。

不動産業界は、不人気な業界です。しかし不動産業がなくなるわけではありません。もっと若い人たちにも働きやすい、刺さるような営業ツールを入れておかなければまずいのではと思いました。

3ページ目:不動産営業から飛び込み営業は無くなるのか?(3ページ目)

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