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ロードスターキャピタル・岩野達志社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)

 

 

―クラウドファンディングを巡って不祥事が相次ぎましたが、そうした動きとは一線を画していきたいということですね。

 

そうですね、自社の売上のために個人投資家にリスクを負わせることはしない、という思いで運営しています。

 

これまでは、『OwnersBook』は他のクラウドファンディング会社のサービスに比べて「案件が少ない」「利回りが低い」とかなり言われました。ただこの1年くらいで、運営会社としての当社の方針をご理解くださる方が増え、そういう声はあまり聞かれなくなってきました。

 

 

―それはクラウドファンディングで不祥事が続いたことも影響していると思います。一連の問題はどういった背景があるとお考えですか。

 

やはり投資物件の選択の間違いでしょうね。

 

普段、我々はコーポレートファンディング事業で年間100億円以上の不動産の取り引きをしています。

 

経験豊富なメンバーが多数いることを前提にしても、これだけ日々不動産に接していると、やはり物件の見る目が養われ、リスクの分析ができます。仮に問題が起こった時に解決していくためのノウハウもあります。そういったノウハウや経験に乏しい会社が、貸し出しをしてもリスクは読みきれなかったのだと思います。

 

 

―クラウドファンディングという仕組み自体に欠陥があるわけではないのですか。

 

クラウドファンディングの仕組み自体というより、専門領域における知識経験と、コンプライアンス体制の整備など、会社ごとの問題だと思っています。

 

収益化に関しては、インターネットのビジネス全般に言えますが、やはりサイズやスケールを取ってからでないと収益化しにくい側面はあるでしょうね。

 

100億円のスケールで、2%を頂くとすれば2億の収益です。それが1,000億、2,000億になった時2%頂いたら、それが20億、40億になってくる。だから100億の売り上げで、大きな利益を狙う必要はないと思うし、そのためにリスクを取るなんて本末転倒と言えます。欧米のような何千億規模のところまで、しっかり面倒見ていかないといけないのでしょうね。

 

 

ロードスターキャピタル・岩野達志社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)

 

 

―そうしたマーケットを作っていくなかで、不祥事が続いたのはマイナスでしたね。

 

クラウドファンディングってやっぱりリスクあるんじゃないの?」と言われてしまうことはありますが、一方でこれは会社ごとの問題です。

 

当社が上場した理由の1つが信用の確保です。

証券会社のチェックが入り、監査法人のチェックが入り、東証のチェックが入る。そういう専門家が見た上で、上場に値するとお墨付きをもらった会社が運営している。

 

投資なので案件自体に全くリスクがなくなるわけではありません。でも、少なくとも運営会社の不正リスクは、一般的な会社よりは低いと思っていただきたい。

 

 

クラウドファンディング市場の成長を阻害する要因

 

―不動産のクラウドファンディングやソーシャルレンディング(※)は、まだまだ黎明期にあるという認識が多いように思います。

 

※注=インターネットを介して、資産運用したい個人から小口の資金を集め、企業に融資するサービス

 

そうですね。

理由は二点あって、一点目はまだ圧倒的にマーケットプレーヤーがいないこと。これは許認可の問題が大きいです。今、クラウドファンディング事業を行うために必要なライセンスを取りたいと思っても、簡単には取れません。新規参入が中々出来ていない状態です。

 

二点目は、業界の成功経験が少なく、共有されていないこと。やっぱり経験がなくては投資家としても育っていきません。それ以前に、悪い事例が先に出てきてしまい、ネガティブな経験値が増えてきてしまっている。そこは、我々が頑張るべきところだと思います。

 

不動産ファンドビジネスは日本のマーケットでも数十兆円のビジネスになっています。

そのうち5%~10%でもクラウドファンディングに変わるだけで、すごく大きなマーケットになる。少し時間はかかるかもしれませんが、丁寧に丁寧に育てています。

 

 

―RIETが日本のマーケットに根付いた経緯をみると、財閥系も含めた大資本が動いたのが大きかったように思います。クラウドファンディングに置き換えた場合、ベンチャー企業が担うのは困難ではないですか。

 

クラウドファンディングは非常にシンプルな仕組みです。

ただ、集めてきたお金を「どのように管理して、どう運用するか」というのは、高度な金融知識や不動産マーケットへの深い理解、規律ある内部管理体制が求められます。

 

だからこそライセンスも厳しい。

 

一方で、余力のある大きな会社は個人のお金を何千人、何万人から集めるというリスクをとりたいとは思わないのでしょうね。あえて、そのリスク取りたくない、取る必要性もない。

 

やろうとすれば、「なぜ個人から1万円を集めるのか」「機関投資家は10億円持ってるではないか」というシンプルな疑問が出てきますよ。その瞬間を切り取るとその通りですが、「それでは機関投資家が景気の後退局面でもちゃんと10億円投資してくれますか」というと話が変わってきます。

 

クラウドのマーケットが一晩で10億円を集めることができるまでになれば、機関投資家から投資頂く10億円と、個人がクリックをして短期間に集まる10億円とでは、どちらに優位性があるかを比べられるようになります。

 

やはり長い視野で見ると、クラウドファンディングの強さ、可能性は相当に大きいんです。

 

今後、中国や香港、シンガポールなどのアジアのマネーが「日本の不動産に投資したい」となったとき、マンション1戸買うのに苦労して管理会社を立てて…といった膨大な手間を省いて、クリック1つで投資ができるようになるかもしれない。これは経済へのインパクトは大きい。シンプルがゆえに非常にポテンシャルが大きいのですよ。

 

楽天がeコマースのサイト立ち上げたように、アイデアはシンプルだけど、最初に始めた人たちは、大きなマーケットシェアを取れる。だから、我々からすると、やっぱり不動産という大きなビジネス領域の中で、マーケットシェアをしっかり取っていきたいですね。

 

 

>>次のページ:クラウドファンディング市場の成熟が不動産業界に必要な理由(3ページ目)

 

 
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