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フロネシス・芹澤克典社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)

 

 

―不動産業界の課題として、「IT化が遅れている」といった話がよくあがります。現場ではどう感じていたのでしょうか。

 

遅れていると言われ続けていますが、これは紙や作法が法的に決まっていることが大きな要因だと思っています。

 

また、よく考えてみたら、私が平成元年に入社した当時は、営業社員で携帯電話を持っていたのは、金融関係か不動産会社ぐらいでした。当時の最新テクノロジーだったんです。その前のポケベルも同じです。最終的には女子高生まで持っていましたが、最初にピコピコやっていたのは不動産会社でした。

 

もっと遡っても良い。私の父親は不動産会社を営んでいましたが、「ゼロックス(コピー)してこい」というのは、不動産会社が一番早かったそうです。FAXなどもいち早く取り入れていた。これまで、通信やコミュニケーションの最先端を不動産会社は使ってきてたんです

 

みんな「遅れている」と言うが、昔からデータ産業をやってきたのが不動産会社だったんです。

 

特に流通をやっている人間は、時間がかかっていてはダメだし、何でも人より早くやらなくてはいけない。社外の人とも常にコミュニケーションを取らなくてはいけないし、そういう意味では、情報ツールに対しての意欲はどこよりもあったと思います。

 

 

―昔は最先端だったのに、今はアナログと言われる要因とは何なのでしょうか。

 

どこかで充足されているのでしょうね。

これ以上なにか新しいモノを必要としなくなってしまった。

 

業界はもう一度、「不動産はデータ商売」だと言うことを認識なければならないんでしょうね。

 

そのためには、エンドユーザーでも専門データに手が届く透明性のある環境や、その情報に携わる人が、エージェントとしての自覚を持つように育てていくことが重要です。

 

最近よく聞くのですが、不動産情報をオープン化するといった話になったときに「どうやって我々は食べていったら良いんでしょうか」と言う人がいるんですね。

 

要するに、情報の非対称性で食べているんだから、それがなくなったらどうしようと言う人です。しかしそうではなくて、ユーザーが知る価格に客観性があって、それで意思決定できるのであれば、流通性は高くなるはずです。

 

今のままでは、ユーザーが業者を疑って、適正な価格が分からなくて流通性が乏しくなってしまいます。不動産会社側も「何組かくる客のうち一人を引っかければ良いんだ」と思っていたら、それって全体として流通性は低くなっています。むしろ適正価格がすぐに分かって仲介の数字が正しく載っていれば、より流通が促進されると思っています。

 

やはり、情報の非対称で儲ける時代は終わります。そういうマーケットは事業者もユーザーも活用しづらいんだから。

 

また、やっている事業者にとっても辛いのは、一般のユーザーから見たら、「仲介って不動産の情報をウェブに載せてるだけでしょう」と思われてしまう。それではダメです。「これで売ろう」「貸そう」という意思決定をコンサルするようなエージェント業であることを自覚しなければならない。「仲介だろう、千三つだろう」の時代は終わります。

 

楽な仕事ではなくなるのです。そのためにもITやテクノロジーを活用したプロフェッショナルにならなくてはなりません。

 

 

―不動産業界がこれまでの慣例を捨てなければならないと。

 

時代は変わります。

ブームもあって、自分たちがやっていたビジネスが陳腐化することもある。

 

『KUROUTO.』も同様です。

 

利用者が増えていって、要望が多くなり、開発するのが難しくなっていくかもしれません。しかし、サービスが進化し続けることで、その人のニーズや、その時代の人間の行動に寄り添うことができれば良いと思います。

 

これって不動産業でも同じですよね。

 

 

―今後の目標は何でしょうか。

 

10月にリリースして利用アカウントの数は、まだ100に届かないくらいですが、半年で『workplace.kurouto.』を1,000ユーザーにまで増やしたいと思っています。

 

現在『workplace.kurouto.』を道具として配布してワーカーを広げています。次にワーカー間での仕事のやりとりなどもできるようにしていきたいと思っています。そしてユーザーが増えたら、地域に貢献できるような仕事やサービス・商品を作ります。

 

それがひいては、例えば地方の空き家の予防策になったり、空き家問題の受け皿として機能するようになったりすると考えています。

 

地方は、母子家庭や生活保護世帯に向けた住居が必要とされている。でもそういった住居を新たに作るほどの財政的な余裕はありません。空き家をリノベーションして、提供するといった環境作りや、社会資本として空き家を利用する。空き家とファイナンスを繋げるような未来に『KUROUTO.』が貢献できればと考えています。

 

そのためには、その地域でやってきたプロの経験やアドバイスは貴重です。そういったところに価値が出るような仕事が生まれると思います。

 

経験がないことを1から勉強するということには無駄が発生します。それならば得意な人に振った方が良い。地域やエリア情報にマニアのように詳しい人もいますから。仕組みを勉強することは良いかもしれませんが深さが違います。専門性が高い人のナレッジを活用する場を提供したいと思っています。

 

 

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