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便利なサービスをきっかけに、クラウドソーシング環境を構築する

フロネシス・芹澤克典社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)

―不動産のプレイヤーがコンサルティングなどの業務に時間をかけられるようにするというのは、業界のテーマでもあります。

 

よく言われる話ですが、遠くない将来、情報の非対称性などによって商売をしていた不動産会社はなくなっていくだろうと考えています。

 

これからは的確なコンサルティングをする、本来の不動産エージェントとしての価値が出てくるのです。

 

例えば今は、田舎にある価格の付かない空き家は、仲介しても手数料は最大で18万円にしかなりません。これは、普通の不動産会社はやりたがりませんよね。しかし、売主からしたら「いくらになっても良いから売りたい」と思っています。例えば、ある不動産会社が200万円で売れたとしたら、売主は大喜びで、100万円のお礼金を払いたいと思うかもしれない。

 

不動産だから法律の規制がかかるわけで、中古車ではタダみたいな値段を付ける業者と、知識があってクラシックカーだから何百万で売れる業者があったら、後者の業者に高いフィーを払っても売りたいと思うはずです。

 

不動産業界が手数料の自由化にすぐに取り組むのかは置いておいて、事業者側のコストを下げることで、利益を大きくすることは、最終的に一般の売主にとってもメリットがあることです。

 

当社も自社で行う不動産取引は『workplace.kurouto.』を活用しています。

もう、これがないと業務ができません。それぐらい初期行動の効率化は、コストダウンや時間短縮に繋がっています。

 

 

(画像提供=フロネシス)

 

 

―第2フェーズはどういったものなのでしょうか。

 

『workplace.kurouto.』という便利な道具を多くの人に使ってもらえる、デファクト(事実上の基準)になることを目指します

 

そうすることで、『workplace.kurouto.』をきっかけにして人を集めることができ、ユーザーがそのままクラウドソーシングのリソースになる。

 

ユーザーが利用したあらゆるデータを分析することで、多様なコンテンツや商品を開発できると思っています。例えば、現地調査のデータや査定情報や、測量・境界線といったデータの蓄積ですね。

 

査定情報ひとつ取っても、かなり有効に使えると思っています。

査定情報は、これまで査定したら提示して終わりでした。しかし、そのデータを集めて活用することで、大きな副産物がある。こういったデータを二次利用、三次利用しやすい構造を作りたい。

 

そして、ユーザー相互でもデータのやりとりをしたり、案件を依頼したりする環境が整うことで、KUROUTO.』本来のクラウドソーシングの環境が構築されていくのだと考えています。

 

また、これは第3フェーズですが、最終的に、我々が考える不動産版のクラウドソーシングによって、地域の仕事ができる。都市部にいるオーナーが持つ地方の不動産や承継者のニーズに応えたり、逆に地方の人が都市部の物件を持つ方法を提案できたりする、といったことが可能になると思っています。

 

 

フロネシス・芹澤克典社長(画像提供=フロネシス)

 

 

―『workplace.kurouto.』の利用者が、『KUROUTO.』のクラウドソーシングのユーザーになっていくのですね。

 

『workplace.kurouto.』の機能であるカメラアプリにしても、「こういうサービスがあったら良いな」と思っていた人は多かったと思います。しかし、結局誰も作らなかった。欲しい欲しいと思っていても、実行する人は少ないんですね。

 

私は、せっかくいろんな事業をやるのであったら、派生して考えるのがビジネスマンだと思っています。『KUROUTO.』に繋がるビジネススキームをとして、みんな思いつくけれども、やらなかった『workplace.kurouto.』は、まず第1フェーズとして多くのプレイヤーにニーズがあるはずだと思っています。

 

 

財閥からのスピンアウト。芹澤社長が業界に感じた伸びしろ

 

―芹澤社長は、三菱地所リアルエステートサービス出身ですね。そこに『KUROUTO.』のきっかけがあったのでしょうか。

 

私は1991年に三菱地所リアルエステートサービスに入社しました。仲介や住宅販売といった経験を経て、バブル崩壊後の不良債権のバルクセールや倒産案件を担当し、2000年代初頭にはファンドバブルによるM&Aや事業再生案件を多くこなしてきました。

 

その後、2000年代の後半からは企業不動産(CRE)を統括するポジションに就き、企業用不動産のコンサルティングや、それに伴ったシステム開発に携わりました。

 

事業再生事業や、企業不動産のコンサルティングには共通の課題がありました。それは、先に述べた「コスト」「スピード」「データ」です。企業のデューデリジェンスや、企業不動産のコンサルにはデータが必要不可欠であり、かつ対応のスピードやコストをどれほどまでに軽減できるかが大きな課題でした。そしてアウトソースを活用したビジネスにこそ問題解決の糸口があると思っていました。

 

これは、一部の事業だけではなく、不動産業全体にも同様のことが言えます。そこで、2015年に同社を退社するとともに、フロネシスを設立し、サービスの開発を進めました。

 

 

>>次のページ:不動産業界は遅れた業界ではなかった。(3ページ目)

 

 

 

 
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