不動産購入が相続税対策になるという話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
たしかに不動産は現金や有価証券よりも相続税が安くなる可能性があります。
不動産を購入することでどれぐらいの節税効果があるでしょうか。
そこに潜むデメリットを含め、基礎知識をご紹介します。
▼相続税の仕組み
相続税はその名のとおり、相続した財産に対して課される税金です。
相続できる財産を増やすためにも、できる限り節税したいものですよね。
そこで有効となるのが不動産です。
同じ値段の現金や有価証券に比べ、不動産に対する相続税は安くなります。
というのも、現金や有価証券はその額面の100%に課税されるのに対し、不動産は実際の価格よりも安い評価額から課税されるためです。
▼不動産の節税効果
具体的に見てみると、土地の評価額には「路線価」が使われます。
路線価は市場価格の70%~80%程度です。
さらに、建物を評価する固定資産税評価額は物件程度の50%~60%になります。
たとえば5,000万円の現金を持っていたとしましょう。
現金のまま持っていると、5,000万円に課税されます。
ここで、土地3,000万円、建物2,000万円の物件を建てたと仮定します。
土地の評価額が80%、建物の評価額が60%とすると、土地2,400万円+建物1,200万円=3,600万円に対して課税されることになるのです。
▼賃貸に出すとさらにお得
このように現金を不動産に換えるだけでも節税になりますが、この物件を賃貸に出すことで、さらなる節税効果が期待できます。
先述の土地と建物を賃貸に出すと仮定しましょう。
借地権割合70%、借家権割合30%とすると、土地は2,400万円×(1-0.3×0.7)=1,896万円、建物は1,200万円×(1-0.3%)=840万円で、2,736万円が相続税評価額となります。
もとの現金5,000万円と比べると、半分近く評価額が下がっていることがわかります。
▼不動産購入のデメリットは?
このように不動産は相続税対策には有効です。
しかし、不動産は換金しづらく、分割しづらいという特徴があります。
相続税対策で購入したのに、相続でもめてしまったら元も子もありません。
さらに不動産は資産価値が低下する可能性があります。
不動産を賃貸に出したとしても、常に高い収益が得られるとは限りません。
「現金で持っていたほうが良かった!」と後悔しないためにも、メリットとデメリットをしっかり理解しておきましょう。