様々な業界で新たな挑戦や技術革新が始まっている。
7月30日、ベンチャー企業インターステラテクノロジズ(北海道大樹町)による小型ロケット「MOMO(モモ)」初号機の打ち上げがあった。結果は失敗となったが、民間企業による宇宙進出に期待が高まっている。また、近年AIやロボット業界に注目が集まっており、様々なサービスや仕事の代替になりつつあることも報じられている。では、不動産業界でも新たな試みに挑戦している企業はあるのだろうか。不動産Techに詳しい株式会社FP-MYS 工藤崇代表に聞いた。(リビンマガジンBiz編集部)


VRを体験する女性 (画像=Pixabay)

これまで、私はリビンマガジンBizで、「不動産Tech」について多くの記事を掲載してきました。現に、今秋の重要事項説明書オンライン化をはじめ、不動産業界には変化の波が押し寄せています。
今回は実際に第一線を走る企業の取り組みから、不動産企業が挑戦する新たな試みについて分析していきましょう。


2017年秋のペーパーレスの波は号砲のサイン?

まず、不動産Techの文脈で最近よく耳にするのは2017年秋の重要事項説明書のオンライン化です。もともとは不動産取引においてトラブルが多発したことを受け、1967年にスタートした重要事項の説明義務は、宅建士(宅地建物取引士)による説明に限定されています。今回の改正では、借主への賃貸取引に限定して、いわゆる「IT重説」が解禁されます。

では、このような技術革新によりこれから新たな主役になるのはどのような動きなのでしょうか。次なる「不動産サービス」を仕掛けるベンチャー企業の動きをチェックしてみましょう。


不動産Techを担う注目企業はこれだ!

株式会社リビングスタイル(https://www.livingstyle.co.jp/

不動産×VR(仮想現実)を提供する企業です。
同社のサービスは不動産を購入するとき、「家具をどのように配置しよう」と悩む人が対象です。実際の寸法を反映した家具のデータを使って、家具配置のシミュレーションをできる、というものです。家具購入のほかにも、既に持っている家具とのマッチングを試すことも可能です。これまでの操作アプリのように高度な知識や技術を必要としないところも大きなメリットです。

株式会社Crowd Realty(https://www.crowd-realty.com/

不動産への投資をめぐるお金に着眼したビジネスモデル。不動産投資はこれまで投資会社を介したものがほとんどで、不透明な部分が多い取引でした。そこでクラウドファンディングのもと、投資会社を介さない直接取引(これをP2P取引といいます)を構築し、少額の資金需要や投資ニーズに対応しています。今後地方において、築年数が経った物件の再生プロジェクトや民泊を絡ませた物件再生などに注目が集まっていくことが予想されます。同社は資金需要者は個人レベルで不動産投資に取り組む人も多いため、資金需要だけではなく、マーケティング支援も行っています。

日本を代表するメガバンクである三菱東京UFJ銀行が開催したビジネスコンテストの第2回グランプリ受賞企業としても注目されています。


(画像=Pixabay)

おうちダイレクト(サービス)(https://realestate.yahoo.co.jp/direct

新たなプラットフォームを築くのではなく、既存の不動産取引において「仲介会社」を取り除いたモデルが「おうちダイレクト」です。2016年の導入時、不動産業界以外でも大きなニュースになりました。売主から買主への不動産売買の場合、仲介会社は両社から「上限3%+6万円」の手数料を受け取りますが、おうちダイレクトは売主からは手数料を受け取らず、買主からのみ受け取ることで高いユーザービリティを実現しています。

HowMa(サービス)(https://www.how-ma.com/

不動産投資において最も不透明な部分、素人が手を出しにくい部分が「不動産の価格査定」です。HowMaは建物の種類、建物面積(専有面積)を入力することによって、人工知能が自動で査定してくれます。今までは不動産会社の(経験のある)営業マンを呼び、査定を依頼する時間を費やさなくてはなりませんでした。HowMaはその専門家に相談する煩わしさも解決できるものとして注目されています。インターネットで所有している不動産の価格がわかると、売買価格がわかりやすかったり、ライフプランにおける不動産資産の位置づけが理解しやすかったりといった効果があります。

株式会社ツクルバ(http://tsukuruba.com/

総合的な不動産Techのコングロマリットに向けて発展している企業です。会員用シェアオフィスや中古用マンションマーケット、デザインファームなど、リアルと不動産Techの双方に注力している企業です。不動産に関わるベンチャー領域では、とても知名度がある企業でもあります。地方拠点の産業振興オフィスや、一棟イノベーションマンションにも積極的に仕掛けています。

不動産企業の斬新な動きがこれからの日本に与える影響

今回ご紹介したように、様々な視点から「次なる」不動産業界に向けベンチャー企業は仕掛けています。ここ数年間で不動産業界を席巻したリノベーションや民泊のように、不動産Techに含まれる新たな試みが不動産業界に大きな影響を与えることでしょう。その動きが、ユーザーに対する満足度と「比例」して拡大することを望みたいところです。

 
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