不動産売買においては、売買契約日と「決済日」の違いに注意です。不動産の売却益は「〇〇に使おう」と決めている売却の場合は、この売買契約日と決済日のあいだに入金が完了すると、当初の目的には入金が間に合わないことも。両者の違いと、この部分を理解していないために発生するトラブルについて解説します。まず両者は何が違うのでしょうか。


1、不動産「決済日」は引渡し日のこと


不動産売買には2つの「ポイント」があります。1つは売り手から買い手のあいだで「売買の約定」を結ぶ日のこと。多くの売買案件の場合、この日に「売買契約書」と「重要事項説明書」の2つの書類を締結します。多くの場合は事前に内容を擦り合わせて同意したうえで、両者のあいだで署名捺印を行うのが「売買契約」です。


一方の引渡しとは、売買契約の履行を指します。売買契約を終えても不動産売買には、対応しなければいけない点が残っている場合も。売却案件のなかに残置物がある、債務(住宅ローンの残債等)がある、抵当権や根抵当権がついている場合など。ちなみに根抵当とは、特定の物件への担保権ではなく、不特定の担保となっている物件のことを指します。


このような点は物件の引き渡しにとって「障害」となっている場合も多く、解決してからの引渡しが定石とされています。解決しないと引渡しが成立しないことも。この解決はすぐに終わるものばかりではなく、場合によっては1カ月や2カ月といった長期間を要する場合も。




2、売却益を使用する場合は決済日以降にすること


そのため、売却益を使用する場合は決済日以降にする「余裕」が必要です。売買は決まっているけれど、タイムラグが発生したがためにお金の使い手としては上手くいかなかったというケースも。


対策としては売買契約日までに懸念事項を減らしておいて決済日とのあいだを詰めるか、売却益の使い道を「決済日以降の使用」としてあらかじめ明確化しておくことが大切です。

また稀にですが、売買契約までは滞りなくとも、決済日まで進まず、その売買案件自体が「なかったこと」になってしまうケースもあります。その可能性を考慮にいれず、大きな契約を結んでしまうと支払能力がなく、結果損害賠償をも発生するような大きなトラブルになってしまう場合も。このようなことを防止するためにも、売買契約は「契約書にサインをすればいい」というものではなく、あくまで決済日までを見通した形にすることが求められます。

 
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