いずれは子どもに渡すことになるとは思うけれど、まだ自分が管理しなければならない。親世代にとって「実家」とはそういうものではないでしょうか。かといって不動産売却のノウハウもなければ、相続や贈与といった専門的知識もない。そんなときは地元の銀行、いわゆる地方金融機関に相談してみましょう


1、地方金融機関の情報網


地方の金融機関が持つ情報網はとても頼りになります。不動産売却の相場価格から不動産鑑定士や測量士との地域ネットワーク、購入希望者とのマッチングにいたるまで包括的に高いホスピタリティを受けることが可能です。もちろん金融機関単独では宅建業法にもとづく不動産売買の取引を受けることはできませんが、金融機関の意向を受けた不動産会社と「チーム」を組んで取り組むことが可能です




2、地方銀行が全力で取り組む「空き家問題」


地方銀行など金融機関にとって目下の課題は「空き家問題」です。もちろん金融機関のみならず、地方自治体や不動産業界にとっても対策の急がれる課題になっています。平成25年の統計局の住宅・土地統計調査にて全国の空き家数は、約820万戸という数字が報じられました。この調査は5年ごとに予定されており、次回(予定では平成30年)では空き家数1,000万戸という大台を突破するのではといわれています。


参考:統計局平成25年住宅・土地統計調査 http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/


「空き家になる」原因のひとつが、「実家の相続」といわれています。親世代から子世代に対して、「自分が亡くなったら実家をどうするか」は相続時の大きな課題ですが、日常生活のなかではなかなか話し合う機会はない。それも子世代と「遠くに住んでいる」となると、お正月やお盆にしか顔を合わせないあげく、年に数回の顔見世に「亡くなった時の話」はしづらい。そのうちに別れのときが来て、10カ月間の分割協議書作成期間と3カ月での相続放棄期間という「とても短い時間的制限」のなかで対応を決めなければいけないということになります。


地域差はありますが、2020年の東京オリンピック開催に向けての土地価格高騰で、不動産売却の環境は様変わりしています。高い価格で不動産を売却できることは、売主にとって高い売却益を手にできる反面、簡単に買い手がつかなくなるというネックも顕在化します。

地方金融機関に相談することで、いずれ訪れる不安の「実家の相続」に向き合うことができるのではないでしょうか。

 
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