不動産購入の時は「売却」のことも当然に考えて購入物件を決めるもの。不動産を売却するときの「(想定)売却益」もキャッシュフローに含まれるため、その物件がいくらで売れるのかは購入時から大きな問題です。売却の「出口戦略」を組み立てているかは投資用ではなくても不動産所有のポイント。そもそも不動産が無事に売却できるかも不透明です。


万が一返済計画に「まさか」があって、住宅ローン返済が滞ってしまったとき、不動産売却を以って不動産を現預金に代えられなかったとしたら。そんなケースで知っておきたいのが「任意売却」です。 


1、任意売却とは?


居住用の物件を購入した際、多くの人は可能な限りの頭金を支払ったうえで残額に対し住宅ローンを組みます。ただ支払いは30年や35年に及ぶケースもあり、返済期間のなかで環境が変わる可能性は大いにあるものです。収入が大幅に上がり、返済に余裕が出る「変化」であれば嬉しいものですが、その逆の場合が問題です。


万が一「住宅ローンの返済金を支払うことができなくなった」場合、住宅購入者と住宅ローン金融機関のあいだで合意したうえで購入した不動産物件を差押えして「競売」にかけるという流れになります。



2、競売と任意売却の違い

競売になると言葉が悪いのですが、物件は二束三文で売却されてしまうもの。そこで、その一歩手前の段階にある売り手保護が「任意売却」です任意売却とは、競売で差押えをする前に債権者とのあいだで話し合いをして、一般の中古住宅に次ぐ水準で売却手続きを進めようとするものです。一般相場とどのくらい差異があるかはケースバイケース。売却は競売のように裁判所が売却するのではなく、任意売却の専門業者が売却手続きをリードします。住宅購入者にとっては、競売より高く売れることで「手元の債務をより減らすことができる」というプラスの効果があります。


住宅ローン返済不能、不動産売却の不調はここ数年著しく、ここ数年のあいだに任意売却の専門業者も増えてきました。今後、任意売却の利用者は更に増えてくることでしょう。「競売」にしても売り手の救済策ではありますが、「競売」の言葉の持つマイナスイメージが著しいため、何か言い換えの言葉が浸透してもいいかもしれませんね。

いずれにしても、住宅ローンを返済する30年のあいだ、予定通りに行くとはとても思えません。「出口戦略」も組み立てて、生涯における住宅プランニングと向き合っていきましょう。

 
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