政府・与党は2017年度の税制改正で、行き過ぎた節税を防ぐための課税強化に乗り出すと報じられています。具体的には、現在は節税に利用されている高層マンション(タワーマンション)の課税の見直しが柱となりそうです。現状では、マンションは同じ部屋の広さ(専有面積)なら階数を問わず、固定資産税は同額となっています。これを見直し、高層階は増税され、一方で低層階は減税されるようです。

 「タワマン節税」といえば、不動産業界の流行語大賞でした。相続対策としてタワーマンション購入がブームとなりました。なぜ、タワーマンション購入が節税につながるのか、改めて、その仕組みをおさらいしておきましょう。相続税の節税と言えば、課税遺産総額を削減する節税方法が王道です。現金を不動産に変えれば、課税遺産額は減少します。1億円の現金を不動産に変えるだけで、相続税の計算上の評価額は70%から80%程度まで減少するのです。相続税額を計算する際、不動産の財産評価は現金や有価証券を下回ります。相続税の評価では土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価します。路線価は時価の約80%、資材価格や人件費など建築コストを積み上げる固定資産税評価額は一般的に時価の4060%程度です。したがって、現預金や有価証券に比べて評価が低くなるのです。これは土地付き一戸建ても同じですが、マンションは時価に占める建物の割合が大きいため、それだけ評価が下がります。マンションであっても、土地の価格よりも建物価格の占める割合が大きいタワーマンション、しかも分譲価格が高い高層階ほど節税効果が大きいというわけです。

 「決して相続対策にタワーマンションを買ったわけではない.自分自身が住むために買ったんだ。」という人も勿論おられるでしょう。こうした人も、実は恩恵を受けていたのです。 タワーマンションは、一般的に眺めが良い高層階の方が人気が高く、分譲価格も低層階より高くなります。ところが、低層階でも高層階でも固定資産税に差は無いのです。つまり、高層階の現在の課税額は、実勢価格の高さを踏まえると相対的に低く設定されているのです。

 こうした変更は早ければ181月から、20階建て以上の新築マンションを対象に実施する方向のようです。これを機会に、タワーマンションブームも一服となるでしょうか。それとも、課税強化の前に駆け込み需要が盛り上がることになるのでしょうか。

 
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