小林悟 生産緑地プロフェッショナルへの道

「2022年の生産緑地問題」は不動産業界にとどまらず、一般の報道でも少しずつ話題になっています。そこで、農地や生産緑地のコンサルティングをてがける、スマート・ホーム 小林悟代表に生産緑地の解説や事例を紹介していただきます。一歩ずつ生産緑地について理解することで、生産緑地のプロフェッショナルに近づきましょう。

第3歩目は、生産緑地地主への効果的なアプローチ方法について、基本から応用までを解説していただきます。(リビンマガジンBiz編集部)


生産緑地(撮影=スマイスターマガジンBiz編集部)

生産緑地地主に会う前に知っておくこと 地主のよくある特徴

・生産緑地地主のうち約66%が65歳以上。高齢化している
・生産緑地地主は経営者+職人タイプ。経営者としてビジネスの話に入る前にあなたが信用できる相手かどうか見極めている。警戒心が強く信用されるまで時間がかかる。職人でもあり、こだわりが強く、良い意味で頑固
・きれいな服装(スーツ)やビジネスライクな態度や話し方を好まない。TPO次第だが作業着で会いに行く方が良い場合もある
・収益マンションの建築営業が何度も訪問して迷惑しており、営業マン風の人が嫌い
※上記は私の経験則にもとづいたもので、当然ですが全ての生産緑地地主にあてはまるわけではありません。

今日からできる【初級編】


皆さんの顧客の中に生産緑地地主(以下、「地主」)がおられますか?

「自分の顧客に地主はいない…」そんな場合でも大丈夫です。

早速、今日から地主にアプローチできる方法があります。それは、あなたが過去にお取引した顧客や現在の営業先の顧客、友人、知人、家族に対して、「生産緑地のお困りごとを解決するサービスを始めました」とお知らせすることです。

顧客等の周りには、あなたの知らない人脈が眠っています。もし、声をかけた人の周りに生産緑地のことで困っておられる地主がいた場合、ご紹介していただける可能性があります。ダメ元のつもりでなるべく多くの顧客等に伝えてください。特に、私の実感として連絡方法にSNSを活用すると情報拡散がはかどります。

では、生産緑地の困りごとを解決するサービスとは何をすれば良いのでしょうか。
・生産緑地に関する相続対策
・生産緑地の解除と宅地転用
・宅地転用後の土地価格査定
・土地有効活用等
上記のようなサービスが喜ばれると思います。初級編では、相談を受けて一次対応までが皆さんの主な役割です。相談内容により最適な専門家に橋渡しをしましょう。

スキルを活かす【中級編】


自分一人ではできなくても提携先の専門家と協力すれば、生産緑地に関して様々なサービスを提供できます。

積極的に皆さんの会社が提携している専門家とコラボしましょう。
コラボに適しているのは、
・弁護士
・司法書士
・行政書士
・税理士
・土地家屋調査士
・建築士
です。

ただし、全ての専門家が揃う必要はありません。地主に提供するサービス内容によって選択してください。例えば、生産緑地の相続をメインのサービスとする場合は、弁護士、司法書士、税理士とコラボすると良いでしょう。

初級編と同じく、今すぐ実行できることは、皆さんの提携先の専門家に「生産緑地のお困りごとを解決するサービスを始めました。○○のプロとして○○なことで専門家のお役に立ちます」とお知らせしてください。

○○の例は、「生産緑地の解除と土地有効活用のプロとして不動産を活用した節税」等です。専門家の周りにはたくさんの相談があり、生産緑地について困っている顧客がおられる場合も多いのです。

中級編では、皆さんが不動産専門家としてのスキルを持っていることが求められます。通常の不動産売買や賃貸の知識だけではなく、地主の家族構成や資産全体を見渡して総合的にコンサルティングしましょう。

宅地建物取引士資格登録者の方には、「公認 不動産コンサルティングマスター」の資格取得をお勧めします。相続対策や土地有効活用等の知識が身に付きます。

資格の詳細はこちらをご参照ください。
公認 不動産コンサルティングマスターとは | 公益財団法人不動産流通推進センター

次に、専門家とコラボして生産緑地対策のセミナーを実施しましょう。

セミナーでは必ず参加者にアンケートを書いてもらい見込み客を増やします。セミナー参加特典として何かプレゼントを用意すると参加者を集めやすいです。セミナーが成功するかどうかは、地主を集められるかにかかっています。

皆さんの顧客、提携先専門家の顧客に声を掛け、SNSやホームページ等で告知、リスティング広告等を活用して集客効果を高めましょう。


セミナーは、少人数の方が効果的な場合も(画像=写真AC)

セミナーというと大きな会議室を借りて行うことを想像しがちですが、会場はあなたの会社や提携先の専門家の事務所でも大丈夫です。最小単位は参加者が1~3人でも良いのです。逆に少人数の方が参加者も発言しやすいので良い場合が多いです。

生産緑地対策の経験を活かす【応用編】


生産緑地に関するサービスの経験が蓄積されてくると、以下の例のように今までできなかったことにチャレンジできます。

・農協との提携
(農協と協力関係にある税理士や地元の有力者等とのパイプ作りが必要)
・金融機関と提携して生産緑地対策や2022年問題等のセミナーを開催
・生産緑地の悩み解決専門のホームページの作成
・生産緑地のお役立ち事例等についての本の出版
(書店に本が並ぶ商業出版のハードルは高いです。しかしその分効果は大きいです。本をセミナー参加特典プレゼントとしても利用できます)

まとめ 最初の1人の関係が、その後のビジネスを作る


地主から生産緑地の相談を受けるためには、信頼関係が築けるかどうかにかかっています。
様々な地主へのアプローチ方法を紹介しましたが、結論から言うと誰かから地主を紹介してもらうのが一番の近道です。地主の周りには同じような悩みを抱えている方がおられます。最初は1人の地主から信頼を得ることを目標に取り組んでみてください。

 
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