毎週金曜日配信、「人生の上がり3ホール、賢いシニアのお金の話」


お金・資産運用のプロ 中村伸一さんが「ヤングシニア」向けの資産運用や、老後資金に関してのノウハウを、ゴルフ要素を交えながら伝授します。

今回は、定年後の支出に関してのお話です。(スマイスターMagaZine編集部)

12番は距離の短いミドルホールです。セカンド地点から左ドックレックしています。

第0打:コースマネージメント

セカンド地点から左に曲がっているコースレイアウトですが、ティーショットからショートカットすることも可能です。ここは、勇気を出して左林の木の上を越す作戦でいくことに決めました。

定年を控えている、もしくはすでにリタイアメントを迎え、次のステージに入っているヤングシニア世代は、他の同年代の懐具合が気になると思います。リタイアメント世代の収入は、公的年金と私的年金、さらには預貯金の取り崩しです。隣の芝生が青く見えるのは、人の常です。では、この世代の年金収入や、生活費などの支出はどの程度なのでしょうか。2016年に実施された総務省の「家計調査報告-平均速報結果」を使って見ていきましょう。


(画像=Pixabay)

第1打:ヤングシニア世代現役世代の5つの壁

左の林の上を狙って、振り切ったドライバーショットは、上手く木の上を越しましたが、左ラフにつかまってしまいました。しかしショートカットをしたため、ピンまでの残りは103ヤードと絶好の位置です。

ヤングシニア世代がリタイア後、意識しなければならない収入が減少する5つの壁をご存知でしょうか。
役職定年:それまで俸給表などによって上昇もしくは現状維持が続いてきたが、人件費抑制や組織活性化のために企業がこぞって導入した制度で、企業によって55歳から57歳がその対象となります。約2~3割の減少が平均的なようです。
60歳定年:原則65歳までの雇用延長が義務付けられましたが、再雇用時の給与は、2割~5割減となる企業が多いようです。
65歳定年:この時期で会社の雇用は終了し、公的年金に移行します。その平均金額は後述します。
企業年金の終了:大企業に勤めていた方々は、公的年金とは別に企業年金が支給されることがあります。しかしこれも10~15年の有期型企業年金が多く、この終了時期が第4の壁となります。
配偶者の死亡:配偶者である夫が死亡した場合、妻は老齢年金から遺族年金へと移行します。よく夫の老齢年金の3/4が遺族年金として支給されると思われています。しかし、正確には夫の厚生年金部分の3/4に妻自身の基礎年金が加わることになります。おおよそ老齢年金の6割くらいと考えましょう。

第2打:ヤングシニア世代の家計収支

第2打目は、ラフから残り103ヤード。フライヤーとフォローの風5メートルを計算し、実質95ヤードの感覚で打ったAさん。大きく手前をダフリ、グリーン手前のバンカーに打ち込んでしまいました。今日は右肩が下がってインパクトを迎えているようです。

例として紹介するモデル世帯は、夫65歳以上、妻60歳以上の無職2人世帯です。現代日本のヤングシニア世代の典型的なモデルといえるでしょう。

実収入は21万3千円/月で収入の大部分は公的年金で占められています。一方、社会保険料と税金の非消費部分は3万円、消費部分は23万8千円で主な支出は、
・食費6万5千円
・住居1万5千円
・水道光熱費1万9千円
・交通通信費2万5千円
・保険医療費1万5千円
・教養娯楽2万6千円となっています。
収入と支出の差は5万5千円の赤字となります。
その赤字分を今までの預貯金を取り崩してまかなう、という生活パターンが平均像です。
皆さんのご家庭と比較していかがでしょうか。特に差が出るのは、居住費のところではないでしょうか。持ち家世帯では、すでに住宅ローンが終わり、固定資産税や管理費、修繕積立金の支払いが住居費のメインとなります。しかし、賃貸住宅に住まわれている世帯は、住居費はこれでは済まない、と感じられることでしょう。

第3打:老後資金としていくら必要か

バンカーからの第3打目。バンカーが苦手なAさん。アゴが高いバンカーなので、コックを早めに使い、高い球を意識して打ち出しました。良い角度で上がり、ピンそば1.5メートルにつけることができました。


では、仮に2人とも65歳のご夫婦が必要な老後資金は、いくらなのか計算してみましょう。
毎月5万5千円足りず、65歳の女性の平均余命が約25年(すなわち90歳まで生きることを前提)とします。5.5万円×12か月×25年=1,650万円が最低限必要だと計算されます。
この金額は、皆さんどう感じられますか。多分予想していた金額より少ないと感じる方が多いのではないでしょうか。


(画像=Pixabay)

第4打:ヤングシニア世代の貯蓄額

では、ヤングシニア世代の貯蓄額は、どのくらいなのでしょうか。
総務省が発表した、「高齢者世帯の平均預貯金残高」(2016年)によると、平均金額は2,385万円となっています。これは皆さんの感覚からすると、「そんなに高いのか」と思う方が多いのではないでしょうか。しかし、これは一部の高額預貯金所有者が平均を押しあげており、中央値を見ると1,592万円となります。
先ほどの、公的年金だけでは足りない生活費の合計が約1,600万円ですので、中央値がその金額に近いものとなっています。

しかし、余裕をもって老後世代を送りたいのは皆さん同じです。現役時代から、金融商品を上手に活用して、少しでも増やす努力をしていきたいものです。

残り1.5メートル若干のスライスライン、Aさんはしっかり読み、パーで上がりました。

 
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