毎週金曜日配信、「人生の上がり3ホール、賢いシニアのお金の話」
お金・資産運用のプロ 中村伸一さんが「ヤングシニア」向けの資産運用や、老後資金に関してのノウハウを、ゴルフ要素を交えながら伝授します。

今回は、投資口座の非課税枠を上手に使った資産運用のお話です。(スマイスターMagaZine編集部)

11番はインコース初めてのロングホール。距離はそれほど長くはありませんが、右ドックレックのコースです。

第0打:コースマネージメント

コースが急激に右に曲がっています。Aさんはティーショットをできるだけフェアウェイ左側に落とす作戦を考えました。

定期預金や株式などの運用によって、利息や配当金を受け取ることがあります。また株式や債券、投資信託やETF(Exchange Traded Fund)などを売買することで売却益を得ることもあります。

ヤングシニアの資金運用として注意しなければならないのは、これらの取引には税金(所得税及び地方税)がかかるということです。「総合課税」を選択すると、すべての所得に対して累進課税税率が、「申告分離課税」や「源泉分離課税」を選択すると所得税15%、地方税5%(ただし今の所得税は復興所得税0.315%が上乗せされ、15.315%)が課税されます。

運用計画は、当然ですが手残り金額で考えるべきです。
実は国の政策で、これらの税金が免除される仕組みがあります。それがNISA(小額投資非課税制度)やiDeco(個人型確定拠出年金)などです。これらを上手に組み合わせることで、投資パフォーマンスが上昇します。以下、それらの制度と特徴を見ていきましょう。

(画像=写真AC)

第1打:NISA(少額投資非課税制度)

ロングホールなのでティーショットはドライバーでと決めていたAさんは、フェアウェイ左を狙って打ちました。少しこすり玉でしたが、フェアウェイほぼセンターへ、飛距離は220ヤードでした。

NISAは、日本に居住している20歳以上の人が加入できる制度で、対象商品は上場株式、ETF、REIT、株式投信などで、預貯金、国債、債券は対象外です。運用期間は各年5年で最長10年、一人年間120万円(累計600万円)までです。制度を適応するためには証券会社にNISA口座を開く必要があります。もちろん非課税口座ですので、確定申告をする必要はありません。

第2打:NISAの派生制度

第2打は、無理をせず200ヤードを目標としたAさん、5番ウッドを手にして振りぬきました。少し手前をダフリ、飛距離は185ヤード、残り164ヤードとなりました。どうも今日はボールの手前をたたくようです。

NISAは少しずつ我々の間に浸透してきています。最近では、そのNISAの派生制度として、「ジュニアNISA」と「積立NISA」などがあります。

「ジュニアNISA」とは、2016年4月から始まった制度で、0歳から19歳までの間に口座が開設でき、2016年から2023年の8年間、毎年80万円まで設定可能です。期間は開設してから5年間で、総額400万円まで非課税となります。
管理者は親権者で、原則18歳まで取り崩しができません。特に注意が必要なのは、一度金融機関を決めてしまうと、NISAのように変更できないところです。我々ヤングシニア世代の使い方としては、子供や孫の将来の財産形成に役立てることができます。

ここで注意しなければならないのが贈与税です。贈与税は、受贈者の年間110万円を超える金額部分に課税されます。ジュニアNISAの上限は80万円ですから、一見すると贈与税は非課税のように思えます。しかし最近の少子高齢化で、1人の孫へ4人のおじいちゃん、おばあちゃんからお金を渡される可能性があります。その場合は、110万円を超える部分には、贈与税がかかります。

「積立NISA」は、2018年1月から開始予定です。年間40万円、最長20年間保有でき、その間に得た配当金や譲渡益には課税されません。特にドルコスト平均法(毎月定額、例えば1万円ずつを積み立てる方法)にはとても有利です。ただし今のところ、対象商品は、積立投資信託のみとなる見込みです。

第3打:iDeco(個人型確定拠出年金)とは

第3打は若干フォローの風、6番アイアンをキャディバックから抜いたAさん。ピン手前から攻めようとライン出しを意識して打ちました。うまく当たり、ピン横6メートルにナイスオンでした。

2017年1月から発足したiDecoをご存知でしょうか。

老後の公的年金を補完する位置づけで始まったiDecoは、20歳から60歳までの日本に居住している人で、1号被保険者(個人事業主、学生、フリーターなど)や2号被保険者(会社員や公務員で企業型確定拠出年金と同時加入が認められた人)、3号被保険者(2号被保険者に扶養されている人)まで、ほぼ60歳までの全員が加入可能な制度です。

これは、「公的年金では将来国民が老後生活を安心して過ごすことが困難になってきており、それを補完する制度を作る必要があった」という政府の意図がありました。この制度の所管は厚生労働省ですが、金融商品の要素が強いものを扱うのは慣れてないせいか、今一つ盛り上がりに欠けています。あくまで私見ですが、将来的にNISAとiDecoは金融庁の下に統合される可能性があるのでは、と考えています。


(画像=写真AC)


第4打:ヤングシニア世代はそれらをどう組み合わせたら良いか

第4打、ピンまで残り6メートル。フックラインとよんだAさん。カップ50センチ左を目標に打ち出しました。しかし、少し弱く、40センチ手前で止まってしまいました。

NISA口座とiDeco口座の違いは、NISAはいつでも引き出せる、iDecoは60歳以降でないと原則引き出せない、という点です。先述したようにiDecoは、老後の公的年金の補完です。上手な運用法としては、まず最低限の老後資金をiDeco で積み立て、残りをNISA口座もしくは来年開始のつみたてNISAで資金確保することです。iDecoのメリットを最大限活用するなら、なるべく早めに掛け金の限度いっぱい積立を開始することをおすすめします。

第5打:10年でいくらたまるか?

仮に10年間を年3%福利でiDecoを運用できたと仮定しましょう。
1号被保険者は、月6万8千円で約964万円、2号被保険者の会社員なら月2万3千円で約326万円、公務員は月1万2千円で170万円になります。

こちらに加えて積立NISAで年間上限40万円まで(月3万3千円)を20年間平均3%で積立てられたとしますと、こちらでも1,096万円ほどが用意できます。
この両方を上手に使うことによって、ヤングシニア世代の老後資金もかなり安心できる額を貯めることができます。

残り40センチの若干のフックライン、Aさんはきっちり沈め、パーで上がりました。

 
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