毎週金曜日配信、「人生の上がり3ホール、賢いシニアのお金の話」

お金・資産運用のプロ 中村伸一さんが「ヤングシニア」向けの資産運用や、老後資金に関してのノウハウを、ゴルフ要素を交えながら伝授します。


今回は、親の介護に関してのお話です。(リビンマガジンBiz編集部)

このコース名物のそば定食ランチで一息ついたAさん、午後のラウンドに備え、練習グリーンでパットのフィーリングを確かめ、いよいよ午後のインコース10番ホールに向かいます。

第0打:コースマネージメント

10番ホールは、403ヤードの左ドックレックのミドルホールです。第1打の落下地点はフェアウェイが広いので、ドライバーで攻め、第2打を確実にグリーンにオンさせることを目標に立てました。

ヤングシニアの世代は、親の介護に頭を悩ます年代です。仕事との両立や、遠い場所に住んでいるので見守りが心配などの不安を抱えているかもしれません。

そんな時に、選択肢の一つとして考えられるのが、介護施設です。しかし介護施設といってもいろいろな種類があります。どういった視点で選択すべきか、見ていきましょう。


(画像=Pixabay)

第1打:介護のレベル

午後一番のショットはドライバーと決めていたAさん。ティーを少し高めにして、ドローボールで攻めていきましたが、少しこすり玉でスライスしてしまい、215ヤードしか飛ばず、右のラフにつかまりました。

まず知らなければならないことは、親の介護の程度です。厚労省の定めたレベルは要支援1~2と要介護1~5に分けられます。介護の必要度は、コンピューターによる一次審査と健康医療福祉の学識経験者による二次審査を経て決定されます。この学識経験者とは、一般的にケアマネ―ジャーと呼ばれる方々が中心となります。

第2打:介護施設の種類

残り188ヤード風はアゲンスト、結構深いラフで、ライも逆目で悪いポジションです。無理をせず、ピッチングウェッジを持ったAさん。とにかくフェアウェイに出すことだけを考えました。少し手前をかみましたが、上手くフェアウェイに出せました。

介護施設は、大きく分けて民間運営のものと公的運営のものに分けられます。

民間運営施設は、一般的な有料老人ホーム(さらに介護付き、住宅型、健康型に分類可)とサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、グループホームなどがあります。

公的運営施設は、介護保険施設(さらに特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設介護療養型医療施設に分類可)と福祉施設(ケアハウス、養護老人ホームに分類可)などがあります。

一番数の多いのがグループホームで、全国に11,678施設あります。続いて特別養護老人ホームが7,631施設、サービス付き高齢者向け住宅が6,668施設となっています(出典:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」「平成27年度介護報酬改定に向けて」など、2017年7月現在)

第3打:人気の特養

フェアウェイにうまく出せたAさん、ピンまで残り83ヤード。サンドウェッジでハーフショットしました。しかし完全にダフってしまい、残り距離の半分しか飛びませんでした。

特別養護老人ホーム」は、昔養老院と呼ばれていた施設です。病気や障害で在宅での生活が難しい人が入る施設で、2015年から入居の要件が厳しくなり、基本的には要介護レベル3以上の方だけが入居できます。施設では、食事介助、入浴・排泄、日常生活の生活支援サービス、リハビリ、レクリエーションを通した機能訓練などの介護サービスが受けられます。

特養の特徴は、費用が安いことです。入居一時金は必要なく、家賃、食費、光熱費などが発生するのみで、介護度、部屋の種類などにより異なりますが、おおよその目安は、月額8万~13万円程度です。

このことから人気が高く、満室の施設が多いので、入所までに時間がかかります。早く入所したい場合、デイサービスやショートステイを利用し、施設側の方々に覚えてもらうことで、早めに入居できる場合もあります。入居は申し込み順ではなく、その人の緊急性などを含めて判断されます。日ごろから施設と接触しておくことが有利に働く可能性があります。

第4打:グループホームとは

第4打は、ピンまで残り41ヤード。サンドウェッジで打ったアプローチショットは、ピン奥5メートルに4オン。

2015年1月に厚労省が発表した認知症患者の数は、2012年時点で462万人、65歳以上の7人に1人が認知症患者だと推計しています。この数字からも今や認知症は身近な病気といえます。もし、近親者がこの病気にかかった場合、候補になる施設が「グループホーム」です。

グループホームのシステムは、認知症の症状を持ち、日常生活に支障をきたしている患者5~9人に対し、専門スタッフがサポートし、共同生活をする仕組みです。

入居の条件として、要支援2以上、施設がある市町村の住民で、入居にかかる費用は一時金が0~数百万円、月額が家賃、食費、光熱費などで15~30万円程です。

(画像=Pixabay)

第5打:サービス付き高齢者専用住宅(サ高住)とは

サービス付き高齢者専用住宅」とは、まだ介護の必要がない、十分自立して生活できるが、一人暮らしが不安な方には最適な施設です。

したがって、サ高住に求められるサービスは、①安否確認②生活相談サービスの2つだけです。

また高齢者サービス法によって、強制的な退去が禁じられていますので、その点は安心です。また、生活の自由度が高く、施設によっては色々なサービスを受けられるところも出てきました。今後の高齢化に対処するのに適した施設だといわれています。

賃貸借契約となりますので、敷金、礼金が必要となり(~数百万)、月額の費用も10~30万程度です。

施設へ入居するためには、まず親御さんの介護の程度を把握し、費用と相談しながら施設を検索し、見学する、という順で決めていきます。その際、施設のスタッフの数、入居者の平均年齢、介護度の分布など事前に調べ、見学の際には部屋の雰囲気や広さ、食事が口に合うか、そして体験入所ができれば、それをしたうえで最終決定することをおすすめします。

Aさんは、残り5メートルのスライスラインをきっちり読み切り、ボギーで収めました。

 
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