毎週金曜日配信、「人生の上がり3ホール、賢いシニアのお金の話」

お金・資産運用のプロ 中村伸一さんが「ヤングシニア」向けの資産運用や、老後資金に関してのノウハウを、ゴルフ要素を交えながら伝授します。


今回は、「Life Shift」というライフスタイルに関してのお話です。(スマイスターMagaZine編集部)


(画像=Pixabay)

いよいよ、アウトコースの最終ホールです。Aさんは噴き出す汗を拭いながら、スポーツドリンクを飲み干します。

第0打:コースマネージメント


このホールをパーで切り抜ければ、自己新記録を狙える可能性があることに気づいたAさん、どのようにコースを攻めていくかを考えます。

ロンドンビジネススクールの教授、リンダグラットンとアンドリュースコットによる共著「Life Shift~100年時代の人生戦略~」は、これからの長寿社会におけるライフスタイルを、もう一度考え直そう、という内容です。

「残りの人生をどのように生きていくのか」「定年というライフイベントをきっかけにライフスタイルをどう変化させていくのか」といったことにも触れられており、示唆に富んだ内容です。今回はそちらを少し紹介したいと思います。

第1打:変化に対応する必要性

Aさんは、積極的に攻めていくことに決めました。ティーショット、しっかりと振りぬいたドライバーは、球の芯を食ってフェアウェイほぼ真ん中、距離は230ヤード出ました。

鴨長明の方丈記ではありませんが、川の流れと同様に、人生はそのライフステージが目まぐるしく変化します。それは、自分が受け入れるかどうかにかかわらず、変わっていきます。時代の変化は、AIの台頭や、それに伴った職業の栄枯盛衰、そして日本型終身雇用の崩壊など、すでに目に見える形で迫ってきているのです。

今までのライフステージは、

・~22歳までを「教育

・~65歳までを「仕事

・それ以降を「引退

と大きく分けてきました。しかし、本書では今後これらがさらに「マルチステージ」へ変化すると考えられています。

マルチステージとは、「ある時期にあることをする」という、決まったライフステージに当てはまらない生き方を指します。つまり、マルチステージにはその人の年齢は全く関係ないのです。

本書で述べられる3つのマルチステージは、上記した「教育」「仕事」「引退」の3つと、以下の3つのステージを加え、6つになると考えられています。

①Explore

②Independent Producer

③Portfolio Worker

では、それぞれのあり方を見てみましょう。

①Explore

Explore とは冒険者の意味で、いわゆる自分探しの旅に出るイメージです。若いころだと、バックパッカーとして世界中を旅したり、学生がインターンシップをしながら社会経験を積んでいくなどです。

②Independent Producer

例えば個人事業主として定年後に働く、といった環境を選ばれる方を指します。

この概念が我々ヤングシニア世代には深く影響を与えるかもしれません。

③Portfolio Worker

主にある一定規模以上の企業で働きながら経験を積み、さらに自分の仕事に磨きをかける働き方です。これも我々ヤングシニア世代に適用できる可能性があります。

第2打:ヤングシニア世代のLife Shift とは

残り169ヤード風はアゲンスト、5番アイアンで攻めるAさん、球はうまく風とけんかし、ピン横4メートルにナイスオンです。

マルチステージは、男女の差は全く関係ありません。

むしろ今までは女性の方が、適応力を持ち合わせているのは、下記の例からも明らかです。

会社の定年後、男性と女性では社会への適用力が大きく異なります。

男性の場合、「会社社会こそがその人のすべて」といったケースが多く見受けられます。今まで職場や取引先、関係先との人間関係がすべてだったわけです。その社会から離れた後、一体何をしたらよいのか、分からないケースが多いのです。

それに比べ女性は、ライフステージによってフレキシブルに変化することができました。

例えば、子供がいる家庭では、公園デビューの時は、近所のママ友、幼稚園、小中学校ではそれぞれの父兄、高校生・大学生と成長するに従って自分の趣味のサークルなど、かなりの適応力で良い関係を築きます。

マルチステージを意識的に考えることで、今まで固定観念に縛られない、新たなシニアライフを楽しむことが出来るのです。


(画像=Pixabay)

第3打:超高齢社会の日本のために

今後「Explore」 「Independent Procedure」「Portfolio Worker」というステージ間の移動を行おうとすると、様々なことを考える必要があります。例えば、定年後に大学に入り直す、今までの会社での経験を活かし、小さな会社を買って経営者になるなど、過去の生き方にとらわれない新たなライフステージが目の前に広がってくるかもしれません。

人生100年という長いライフスパンを考えると、お金以外の資産も重要です。自分のアイデンティティを常に意識することで、友人関係や健康、スキルといった無形資産を作ることが極めて重要になってくるでしょう。

さらに余暇時間をレクリエーションだけではなく、Re-Creation(人生の再構築)に使う時間や資金も大切です。

ピン横4メートルから打ったパッティングは、惜しくも30センチオーバーでした。返しのパットも慎重になります。

第4打:日本社会とLife Shift


日本社会をしばらく覆ってきた日本型終身雇用制度は、マルチステージの考え方には大きなネックとなっていました。終身雇用だったころ日本では、一度乗ったレールから離れてしまうと、なかなか別のステージに移動することが思うように任せられない仕組みになっていたからです。一方、日本の年金制度は、支給開始時期を本人が自由選択できるので、個々のライフステージの働き方で、いかようにも選択することはできます。

安倍政権下での働き方改革の根本は、行き着くところは、Life Shift だと考えます。単にテレワークで通勤ラッシュを避けるだけでなく、これからの人生の在り方を根本から変える政策に期待大です。

返しのパーパットも慎重に行くAさん、無事にパーで前半戦終了です。

 
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