毎週金曜日配信、「人生の上がり3ホール、賢いシニアのお金の話」
お金・資産運用のプロ 中村伸一さんが「ヤングシニア」向けの資産運用や、老後資金に関してのノウハウを、ゴルフ要素を交えながら伝授します。

今回のテーマは「年金」です。老後の生活を支える年金制度について解説してもらいました。(リビンマガジンBiz編集部)


(画像=Pixabay)

第0打:コースマネージメント 100年安心年金、そうでしたよね

5番ホールは、130ヤードのショートホール。Aさんは、ショートアイアンは少し自信があります。アゲンストの風が吹いているので、8番アイアンを出しました。果たして、この風に負けずにワンオンすることが出来るのでしょうか。

ヤングシニア世代は、「100年安心年金」という言葉を覚えている方も多いのではないでしょうか。
2004年、小泉首相による自公連立政権下で、「今後100年は現役時代の収入に対して支給年金額を50%保証する」といった内容でした。公明党の坂口厚生労働大臣が、委員会でしっかりと答弁していたことを昨日のことのように思い出します。しかし、それには前提がありました。出生率は1.3近辺を維持すること、物価上昇率や、年金積立金の運用利回り、経済成長率も現在より上のラインをベンチマークとしていました。
現状を鑑みますと、青写真通りの安心した年金生活はとてもできない、と思っている読者の方が大部分ではないでしょうか。

公的年金は、下記3つの側面があります。
①リタイア後の生活を支える「老齢年金
②重度の障害を負った時に支給される「障害年金
③お金を稼いでくる方が亡くなった場合、残された遺族が受け取れる「遺族年金

通常は①の老齢年金に対する関心がほとんどかもしれません。しかし、「傷害年金」「遺族年金」の機能付きだということをもっと喧伝していたら、公的年金のカバーする範囲の広さに驚くかもしれません。

第1打:年金の積み立ての仕方

自営業者の方々なら国民年金を、サラリーマンなら厚生年金を基本的には毎月納めているはずです。その年金の積み立て方にはいくつかの方法があります。日本ではどういった積み立てなのでしょうか。まずは、年金積み立ての種類を見ていきましょう。

・積立方式
積立方式は、自分が積み立てた年金を国や保険会社が運用し、そのお金を老後にもらう方式です。掛け金は自分のお金なので、不公平感はありません。しかし、将来インフレになった場合、お金の価値が減価することが弱点です。

・賦課方式

賦課方式とは、その年度の年金支給額をその年度の掛け金等の収入で賄う方式です。この方式はお分かりの通り、人口減少下では支える人口が減り、年金受給者人口が多くいるのでかなりのダメージを受ける点がデメリットです。一方、インフレ下では、支払い側の給与も上がっていくので、保険料が上がっても実質負担は変化しないことがメリットとして挙げられます。

・修正積立方式

では、日本は、どちらの方式なのでしょうか。一般的には、賦課方式だと思っている方々が多いようですが、実際は、修正積立方式、という方法で行われています。
我が国の年金制度は、1944年終戦1年前に積立方式で始まり、その10年後1954年に修正積立方式に変わりました。基本は積立方式で行いますが、その年の年金が足りない場合、人口構成によって被保険者の保険料負担率を変化させながら、その年の掛け金で賄うという方法です。

8番アイアンで打ったAさんのボールは、アゲンストにも負けず、ワンオン。カップまでは8mと距離はありますが、まずまずの調子です。


(画像=Pixabay)

第2打:将来、いくらもらえるの?どこで分かる?

では、自分は一体老後にいくらもらえるのか、皆さんご存知ですか。それが分かるのが。「ねんきん定期便」です。毎年自分の誕生月に年金機構から送付されているはずです。また、厚生年金に統合された、旧公務員共済、旧私学共済は、それぞれの共済から送られてきます。

ねんきん定期便は、50歳以上と50歳未満の方は少し見方が異なります。
50歳未満の方は、国民年金、厚生年金、船員年金の支払い月数が300月を超えることで、初めて受給資格を得ます。はがきの真ん中下ほどに、国民年金、厚生年金の年金受給額が掲載されています。
50歳以上の方は、国民年金の年金見込み額、厚生年金の受け取り開始年齢と年金見込み額が記載されています。
また、「ねんきんネット」で、随時情報を見ることも可能です。

のこり8メートルのスライスライン、見事Aさんはラインを読み切り、バーディでこのホールを終えました。

 
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