高齢化した家族に万が一のことがあれば、相続で不動産を譲り受ける場合があります。こうしたケースでは、自分たちが居住していないことや、不動産に関する知識がないために、そのまま放置されている場合が多いようです。

こうしたことは、すでに「空き家問題」としてクローズアップされてきています。相続した不動産どうするかについて、お悩みの方は今後ますます増加するかもしれません。

1.相続した不動産で知っておきたい4つのポイント

一般の人は、不動産に関する知識があまりなく、不動産屋さんなどのプロにお任せということになりがちです。しかし、必要最小限の知識は知っておきたいものです。次の4つのポイントを知っていると、慌てないで済むと思います。

・放置しておいてもトクしない

・売却する前に、相続登記が必要

・売却益は申告が必要

・相続税を支払った場合、譲渡所得税を軽減できる

2.放置しておいてもトクしない

建物には耐用年数というものがあり、文化価値を有するなどの特殊な場合を除くと、築年数の経過とともに、価値は減っていきます。また、耐震性などについて、現在の建築基準を満足しない場合、住むことに不安があります。

放置していても、固定資産税は毎年課税されます。また、老朽化が進むと周囲に迷惑をかけることになり、行政から指導を受けて撤去せざるを得なくなり、その費用を負担することになります。

3.売却する前に、相続登記が必要

相続した不動産は、被相続人の名義のままで登記されています。よって相続人が複数人いる場合、そのうちの1人が単独で売却することはできません。法務局で手続きをし、相続人の名義に登記し直すことが必要です。

4.売却益は申告が必要

相続した不動産を売却した場合、売却代金から取得や売却にかかった経費などを差し引いて生じた利益に、所得税がかかります。特に問題となるのは、相続した不動産の取得費用が不明であるといったことです。当時の売買契約書が見つかればいいのですが、見つからなかった場合は、売却代金の5%相当額を取得費とすることが認められています。

5.相続税を支払った場合、譲渡所得税を軽減できる

相続した不動産によっては、相続税の納税が必要な場合があります。さらにその不動産を売却して利益が出ると、所得税の納税が必要になります。

こうした場合、相続税申告期限の翌日から3年以内に相続した不動産を売却した場合に限って、支払った相続税の一定額を、相続財産の取得費に加算することができます。詳しい内容は、国税庁のホームページにある「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を確認されるとよいでしょう。

6.まとめ

相続した不動産の場合、相続人全員の合意がなくては売却ができません。また、売却前に相続登記によって所有権を売主に移しておく必要があります。相続に特有の手続きに、遺産分割協議があります。相続人が少ない場合はいいのですが、相続人が多かったり、分割協議がなかなかまとまらないといった場合には、弁護士や司法書士といった専門家に相談するといいでしょう。

 
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