優良不動産、不良不動産の違いについてご説明する前に「一物五価」についてご説明します。

土地には、一つの土地に五つの異なった価格がありますが、これが「一物五価」といわれるものです。

①時価(実勢価格)

実際の取引価格(売買価格)。建売用地等、転売目的の不動産業者の仕入れ価格ではなく、エンドの買主が買う取引価格を指します。

②公示価格

国土交通省が毎年発表する適正な取引価格と見込まれる価格で、土地取引価格の指標とされます。しかし、実際の取引価格は、都市部の人気エリアおいては公示価格より高くなるのが当たり前になっています。逆に郊外の不動産取引が少ないエリアだと、公示価格よりも実際の取引価格が低いということも珍しくありません。

③基準地価

都道府県が毎年発表する価格で、公示価格より実際の取引価格に近い価格とされています。

④固定資産税評価額

固定資産税・都市計画税などを賦課するための基準となる価格。公示価格の70%程度とされています。

⑤相続税路線価

相続税の評価基準とされる価格で、公示価格の80%程度で評価されます。

現金は、相続評価では現金そのものの額で評価されるので、一番公平な資産です。


これに対して土地は、土地の形状、周辺環境、利用状況等によっては、①の時価より⑤の相続評価額のほうが高いということがよくあります。逆に同じ理由で、⑤の相続評価額よりも①の時価のほうが高いということもあり、むしろこちらの方が正常です。


公道に面していて使いやすい四角い更地なら相続評価額が時価より高いということは普通ありません。これが正常なんです。

しかし、たとえば道路に敷地が接していない土地は、建築基準法の規定で建物を建てることはできません。建物が建てられない土地は、普通売れません。売れる可能性があるとしたらせいぜいお隣さんぐらいで、安くてもいらないといわれれば売ることができません。道路に接していない土地ですから、借りる人もいないかもしれません。売れないし、借りる人もいない土地なのに、持っているだけで相続のとき路線価をベースに評価されてしまうのですから(無接道を理由に大きく減額評価ができるとしても)、相続評価が高すぎるということになります。誰も買う人がいないし、借りる人がいない土地なら相続評価はゼロでもいいはずなのに。

あるいは、借地人さんに貸しているいわゆる底地、借地人さんが相続評価額以上でいつでも買い取ってもらえるんだったら相続評価額は妥当であるといえますが、経済力がなく買ってもらえないことだって珍しくありません。この場合、基本的にわずかな地代を受け取る権利位しかありません。地代しかもらう権利がない底地が、いつでも借地人さんに買ってもらえる底地と同じ路線価をベースとして相続評価されるのは、不公平と言わざるをえません。売れない底地は相続評価額が高すぎるということになります。

要するに、優良不動産とは時価が相続評価額より高い不動産、不良不動産とは相続評価額が時価より高い不動産のことをいいます。

 
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