皆様こんばんは!

今年に入ってから4回目のコラムになります。

東京都総合不動産コンサルタントの渡邊です。

今回は、銀行ローン利用特約に基づく契約の

解除について書いてみたいと思います。

事例1

Aさんはマンションを購入しようと思い、B不動産に

行きました。

そこで、B不動産が販売している新築マンションが

気に入り、現地を案内していただき、B不動産に戻り

売買価格が4000万円のマンションを、手付金300万円

を支払い、融資利用特約付きの売買契約を結びました。

そして、Y銀行に借り入れの申し込みをしましたが、

3000万円までしか借り入れできないと言われ、B不動産

の担当者に相談したところ、Z信用金庫を紹介されて

Z信用金庫に申し込みましたが、3300万円の承認しか

得られませんでした。

Aさんは、ローン利用特約(融資利用特約)に基づいて

契約を解除したい旨を、B不動産の担当者に申し出ました。

すると、B不動産の担当者は、さらに別の金融機関に

申し込むように勧めました。

そして、「借り入れ可能な金融機関があるのに手続きを

しないのならローン利用特約は使えず、手付金は返金

しません。」と言われました。

なお、契約書には「借主は、融資の全部または一部が

否認された場合、標記の契約解除期日までであれば、

本契約を解除することができる」という特約があります。

Aさんは、ローン利用特約に基づいて契約解除でき

ないのでしょうか?

ローン利用特約付きの契約とは、

買主が不動産を購入する場合に、その購入資金の一部を

金融機関から融資を受けて利用する場合、融資が受けら

れないと売買代金の支払いができずに、売主に対して

債務不履行責任を負うことになります。

そのような買主に不測の損害が生じないように担保

しておくのがローン利用特約です。

つまり、買主が銀行融資を申し込んで、融資金額の一部

又は全部を銀行から否定された場合に、買主は契約を

解除する(解除条件型)または買主は契約を解除できる

(解除権保留型)ことを約定しておくものです。

よって、あくまでもどの金融機関のどの商品を

利用するかは買主が決めることで、金融機関から

融資の全部または一部を否認された時には、ローン

利用特約に基づいて契約の解除ができます。

宅建業者は、買主がローン利用特約を適用して

契約を解除できるのに、買主の解除の意思を

無視してほかの金融機関に申し込みの強要を

してはいけません。宅建業法65条2項5号の

「不正又は著しく不当な行為」にたあたります。

※法律的な問題は必ず弁護士にご相談下さい。

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ