一般的に不動産を購入するときには「手付」を請求されます。そこで手付の意味を確認していきましょう。手付の本来の意味を知らずに支払うと思わぬ不利益を受けることがあるのです。失敗事例をもとに手付の法的な意味を確認してください。

失敗事例

不動産会社から3,000万円の住宅を購入したAさんは、不動産会社から「手付として800万円を支払ってください」と言われました。しかし、Aさんが「800万円も持ち合わせがない」と言うと、不動産会社から「それなら、手付を立て替えましょう」と言われたのでAさんは了承しました。

この事例では、不動産会社が法律違反を2つしでかしています。800万円の手付を請求したことと手付を貸し付けたことです。かなり悪質といえます。

法律ではこのように定めています

手付については、3つの考え方があります。1つ目が、契約の成立を証明するための「証約手付」。2つ目が契約に違反した場合に没収するという「違約手付」。3つ目が手付を放棄することにより契約を解約できる「解約手付」です。

法律では、不動産取引で不動産会社が売主の場合には、3つ目の「解約手付」になるとみなしています。つまり、買主は手付を放棄することにより契約を解約することができるのです。

事例でのポイントですが、法律では手付の上限も設けています。不動産会社は代金額の2割を超えた手付を受け取ることができません。さらに、手付を貸し付けることも許されないのです。

なぜ違反になるのか?

事例では、上限を超えた手付を請求していますが、手付とは契約を解除するときに放棄しなければなりません。プロのセールスにごまかされ、素人の買主がうっかり契約してしまった場合、解約しようと思っても手付に上限を設けていないと損失が大きくなりすぎるのです。

また、契約を解約するためには手付を放棄しなければならないので、手付を支払うときには相応の覚悟が必要です。しかし、手付を簡単に借りることができるとすると、覚悟と言うほど気持ちを固めることにはならないでしょう。それが、手付の貸付を禁止している理由になります。

手付の意味を確認しておかないと、悪質な不動産会社に引っかかり不当に貸付を受けた手付の返済に負われることにもなりかねないのです。

 
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