友人にいきなりこんなことを言われました。
「私、オカルト物件っていうの?とにかく出る物件に住んでいたの」
「え?」
急に言われたので、こちらはポカーンとしてしまいました。
というわけで、彼女の話を再現させていただきます。
「その物件は、古くていかにも出そうって感じだったの。
本当は住むのは嫌だったんだけど、社宅で家賃1万以下。しかも、O線OO駅徒歩5分。」
O線OO駅といえば誰もが知っている高級住宅街です。
しかも徒歩5分で、家賃1万なんて安すぎます。
「本当は住みたくなかったんだけどね。夫が住みたいというものだから。
それで住んでみて思ったのは、湿気がすごいってことね」
湿気は本当にひどかったそうで、桐のタンスの引き出しが数ヶ月後には開かなくなってしまったそうです。
桐のタンスは、湿気を吸い込むと膨張するのですねと妙に感心してしまいました。
「変なことが起こりだしたのは引っ越して1ヶ月後ぐらい。誰もいないのにふすまがすっと開いたときはさすがに驚いたわ」
そのほかにも、寝ていたら枕元に歩いてきた誰かに顔をのぞき込まれた、深夜無人の隣室から物音が響いてきたなど変なことがあったとか。
結局、1年後に新築の社宅に入居できることになったので引っ越したそうです。
「変なことが起こっても気のせいだと思っていたんだけどね」
彼女は顔を曇らせました。
「私たちの後に入った人が、ここはオカルト現象が頻発する。前の人がなんか変なものを置いていったんじゃないかって言ってるんだって。冗談じゃないわよ。」
彼女は、今までの様々な不思議な出来事が自分の気のせいではなかったことを知って驚いたそうです。
その社宅は、会社が売却し現在は新しいマンションが建っています。
建物が新しくなったのだから、もうオカルト現象は起こっていないのでしょう。
社宅なら訳あり物件はないんだろうと漠然と思っていましたが、こんなこともあるのですね。
彼女は変な出来事があっても全然怖くなかったそうです。
「怖がらなかったから、お化けに追い出されてしまったんだと思うのよ」
と明るく笑っていました。