みなさま、こんにちは。相続コーディネート実務士の曽根惠子です。

「相続相談の現場から」として、相談に来られたお客様の事例をご紹介いたします。

今回は60代・男性Mさんが、母親の相続手続きのことで相談に来られました。

◇きょうだい5人が母親の土地で生活、Мさんだけが別

Мさん(60代・男性)は6人きょうだいの末っ子。四男次女の四男です。

父親は40年以上前に亡くなり、母親が仕事をして子供たちを育ててきました。

母親は90代で今年、亡くなったのです。

母親は独身の次女(70代)と自宅で二人暮らしをしてきました。

父親は親から自宅の土地を相続していましたので、母親がそれを相続しました。

その後、母親は自宅とアパートに建て替えています。

自宅の土地は150坪ありましたので、長女と次男も、母親の土地を借りて家を建て、同じ敷地で生活しています。

長男と三男も別の母親名義の土地に家を建てて、それぞれ使用貸借をしています。

近くに住んでいないのは四男のМさんだけという状況でした。


◇母親は自筆の遺言書を残していた

母親は自筆で書いた遺言書を残していたと、同居する次女から説明がありました。

家庭裁判所の検認も終わったあと、遺言書についてМさんが相談に来られました。

持参された遺言書を見ると、遺言執行者に弁護士名が記載されていて、以前、

トラブルの解決のために母親が依頼した人でした。

ところが、その弁護士に連絡をすると「遺言の存在も、自分が執行者になって

いることも一切知らない」ということです。


◇遺言執行者とされた弁護士は引き受けないと回答

遺言執行をしてくれるのかと聞くと「引き受けたくない」という回答だと。

遺言の内容は、「長男、三男には住む土地を。他のこどもはその他を相続させる」

という意味合いです。

しかし、他の財産となるのは、自宅、長女、次男の住む家を含んだ一体の土地で

簡単に等分で分けるわけにはいきません。

現況で測量し、評価を出して分割案を作り、土地で分けることができるのか、

あるいは一緒に売却してお金にして分けるのかなど、比較検討しながら、

決めていく必要があります。

◇まとめるのは至難のわざ

きょうだい間の意見や利用状況が異なるため、まとめるのは至難の業だと

想定されます。

しかもМさんだけ、きょうだいと離れていますので、意思の疎通がとりにくいの

ですが、Мさん一人がハンコを押さないことには進めることもできません。

Мさんにはきょうだいの間に入って意見調整、提案してくれるコンサルを依頼

しないとうまくいかないため、まずはその相談をするようにお勧めしました。

複雑な不動産が関係すると弁護士さんもお手上げということでしょう。

◆相続コーディネート実務士から

「一体の土地に何世帯か住んでいて分けにくい財産」は、難題です。

生前から測量、分筆しておくことをお勧めしますが、複雑でうまく分けられない

場合は、いったん売却して分けることも必要でしょう。

◆ポイント 

・遺言執行者に指定するなら、本人に知らせておく


・大きな土地は生前に分筆して分けやすくしておく

 
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