サービシンク・名村晋治社長 撮影=リビンマガジンBiz編集部

―名村社長から見て、成功する不動産テックとはどういったものだと思いますか。

 

エモーショナルな言い方ですが、「顧客の気持ちを不動産会社に分からせることができる会社が勝つ」と思っています。まず大前提として、これからは顧客の気持ちが分かる不動産会社が生き残ります。そのことを分からせるサービスが出てきたら勝つと思っています。

 

単に、「こうやれば効率化できますよ」「こうやればアップセルできますよ」というサービスは厳しくなるのではないかと感じています。あくまでも、貸主・借主・売主・買主に寄り添えるサービスです。

 

我々も、当然不動産会社に使いやすいようなユーザーインターフェーを考えて「アトリク」を設計しています。しかし、不動産会社が顧客を騙せるようなサービスは作りません。それをどうやって不動産会社に分かってもらうかが一番難しいポイントですね。

 

この間、登壇したイベントでも、まず「この会場にいる不動産会社さんは、新しいサービスを『使いたくない理由』『使わないでいい理由』を考えていますよね?」と伝えたほどです(笑)。「まだ使わなくて良い」「まだ使わなくても大丈夫だ」と言い訳を考えている不動産会社が多いんですよね。

 

 

―まだまだ、不動産事業者と不動産テック会社の間には溝があるのですね。

 

結局、「お客さんを店舗に呼んで口説き落とせばなんとかなる」と考えている不動産会社が多い。ITを分かろうとしないし、保守的です。

 

今後、ITやテクノロジーを理解しようとする不動産会社と、理解しない不動産会社には大きな差が生まれると思っています。

 

例えば、AIです。

AIは導入しただけでは何も効果がありません。AIはデータを使って学習させなければなりません。AIを活用するには最低でも5年から10年かけて学習データを読み込ませ、フィードバックし、チューニングしなくてはなりません。

 

逆に言うと、どの時点からはじめても、実用化するには必ず5年かかるということです。

 

今、「AIってよく分からない」と感じている不動産会社が、3年後にAIを始めても、3年前からAIを始めた会社には追いつくことはできません。そういった「時代の気分」に早期に気付き、そこに投資できる会社が生き残ります。

 

 

―ITやテクノロジーを理解する姿勢がある不動産会社が重要なのですね。

 

1999年から2000年の頃、私がまだ学生で受託のサイト制作をやっていたときの話です。

 

不動産会社のHPを納品したら、「HPに載っているメールアドレスを消して欲しい」とよく言われました。理由は「メールが打てないから」「メールが来たら困る」ということだった。冗談みたいな話なんですが、そう言われたら「じゃあHPなんて作らない方が良いじゃないですか?」と。

 

しかし当時ホームページを持つというのは「向こう三軒、両隣の不動産会社皆がやっているから、うちもそろそろやるか」という感覚で、制作業者呼んで形をつくって終わりでした。しかし、これからはそういった感覚ではいけません。

 

 

―将来の展望や目標はありますか。

 

大きな目標では、「アトリク」を不動産業界のインフラにしたいと思っています。そのために、まず2~3年で1,000社に利用いただく。

 

また、物件管理のツールやソフトを提供する会社などと連携していきたいと思っています。

 

 

―現在は賃貸仲介ですが、売買の領域への構想はありますか。

 

売買にも参入する予定です。

 

売買の方が、家を決めるまでの期間が長い。検討時間がない。

私も購入する家を決めるのに3年かかりました。

 

そうなれば、やはり物件情報なども煩雑になります。どの物件がいつ紹介されたのかなどが分かりませんから。それが「アトリク」に集約されれば、効率化されるでしょう。

 

現在でも、売買事業者からの問い合わせが多いです。

しかし、「何でもできます」ではダメだと思っています。まず、賃貸仲介に特化します。

 

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