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ecbo・工藤慎一社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)

―『ecbo cloak』は主に旅行者向けのサービスですね。サービスを開始したきっかけは何だったのでしょうか。

 

当然のことですが、たくさんの人が使う物・触れる物には高いニーズがあります。

私は「よく使われる物ほど、何かしらの問題を感じている人が多いのではないか」と思っていて、改めて「彼らが享受しているサービスというのは、果たしてそれが完璧か」と考えると、意外と完璧ではない場合が多かったんです。

 

私の好きな話で、自動車王フォードに関する逸話があります。

まだ車が一般的ではなかった時代、より早く移動したいときに何が欲しいかというと、多くの人は素晴らしい血統を持った馬が欲しいと思っていました。決して車という話にはなりません。それが当たり前だったわけです。しかし、人々が本当に欲しかったのは、馬でも馬車でもなく、より早く移動できる「何か」でした。そこで、フォードは車を作って提供し、成功したという話です。

 

そういった視点から世の中を見たときに、私は人の「物の所有の仕方」や、「管理の仕方」にフォーカスしました。「人が物を持つ」というのは、人類が誕生してから今日に至るまで、変わらない普遍的なことです。物は持てば持つほど富の象徴になる一方で、保管するためのスペースなどの負担にもなります。そういった点で、物の持ち方や管理ということに興味がありました。

 

そこで、2015年のecbo設立当初に始めたのが『ecbo storage』というトランクルームのサービスでした。ただし、トランクルームではグロースの速度がゆったりしており、拡散性も低かった。もっと大きなシェアを狙えるサービスを考えてたどり着いたのが『ecbo cloak』でした。

 

ある日、渋谷で、訪日外国人に「スーツケースの入るコインロッカーを探している」と相談を受けて一緒に40分も探したが見つからない。このスマホの時代になんて非効率的なことが起きているんだろう、というところに着目し、『ecbo cloak』のアイディアを思いつきました。しかし、これが本当に世の中に求められているサービスなのかは確信できませんでした。

 

そんな気持ちで渋谷駅周辺のコインロッカーの数を調べたとき、渋谷には1,400個しかコインロッカーがなく、しかもスーツケースが入るロッカーは90個しかないことが分かりました。これは誰がどう考えても足りていない。なぜなら、渋谷駅は1日30万人以上の乗降客数があるんです。さらに、今後もインバウンド客が増加していくことは明確なのに対して、インフラはなかなか整備されていないことが分かりました。調査を進める段階で、『ecbo cloak』は流行るだろうと確信を持ちました。

 

 

―物を所有するとステータスになる一方で、それが負担になる。その問題をシェアで解決する。シェアも一つの物の持ち方だと考えれば、多様な物の持ち方があることが分かります。

 

個人的にシェアリングエコノミーの概念というのは昔からあったと思っています。しかし、それを不特定多数と行える環境ができたのは最近です。スマートフォンなどによって、全く知らない人と物の貸し借りが行える安全な環境が構築されました。『ecbo cloak』も「荷物」という課題解決のための情報の交通整理をしてあげただけだと思っています。

 

 

―『ecbo cloak』の利用者からは、どういった声があるのでしょうか。

 

外国人の利用者からは、「日本だけなのはもったいない。自分の国にも欲しい」という声をよくいただきます。実は『ecbo cloak』利用者の7割は外国人なんです。

 

我々も『ecbo cloak』は国内だけで終わらせるつもりはありません。2025年には世界500都市で展開していこうと考えています。

 

 

―海外に競合するサービスはないのですか。

 

『ecbo cloak』の後から出てきたサービスはあるようですが、我々が一番大きな規模で展開していますね。資本の調達額や目指している世界観も我々が先だと思います。電鉄会社などとの提携を行っているのも我々だけです。

 

 

―『ecbo cloak』がローンチして1年半ほど経ちましたが、改修作業などはどれぐらい行われているのでしょうか。

 

IT企業のサービスは延々にベータ版である感覚ですので完成形はありません。改修は常に行っています。

 

 

―工藤社長は現在27歳。会社組織を運営する中で一番大事にされていることは何でしょうか。

 

私自身、まだまだ経験が足りないと思っています。

しかし、絶対になりたくない経営者像というものはいくつかあります。目先の利益だけを求めることや、名声にへばりついて離れようとしないこと、過去だけに執着すること、それでは組織で大きなことはできないと感じています。

 

ecboのスタンスは、自分たちの意思決定によって世の中にインパクトを残していきたいというものです。ゆくゆくは人類の進歩につながることをやっていきたいと考えています。そのためにどのようなことが必要なのかを意識して日々取り組んでいます。

 

 

―「人類の進歩」という言葉が出てきました。人々をより便利に、新しい価値観を作っていくといった考えがあるのですね。

 

何にしても楽しい方が良いじゃないですか。ワクワクしないことに時間を使っても意味がないと思っています。我々に関わる人やコミュニティも巻き込んでワクワクしたいんですね。そのためには、人がやらなくていいことを極力排除して、人がやるべき仕事を増やしていきたいと考えています。

 

 

―今後の目標はあるのですか?

 

今年度中には、10,000店舗を日本全国に展開することを目標にしています。あとは将来への種まきですね。ecboの新しいサービスとして、預けた荷物を運べたら面白いなと思っています。

 

自分の頭の中では、ほとんど完成しているサービスでありながら、リソースの問題でまだ実現できないことが多く、いつも歯がゆさを感じています。これを早く達成させなくてはいけないという使命感があります。明らかに便利になることが分かっているのに、それが現実にないのが歯がゆいのです(笑)

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