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グルーヴ・アール・川島直也社長(撮影=リビンマガジンBiz編集部)

―ユーザーの行動としては、SUUMOなどで物件を見て、ある程度に絞り込んだものを『マンションレビュー』でチェックするといった形でしょうか。

そういう感じですね。最近のユーザーだと、例えば「虎ノ門タワー」という良いマンションが見つかったら、「このマンションの他の部屋はないかな?」とか、「このマンションの評判はどうなのか?」、「このマンションの適正相場は?」などを知りたくなる。

その時は、直接GoogleやYahoo!で、マンション名を検索します。実は、こういうマンション名を直接検索するクエリ(ユーザーが検索エンジンで検索するワード)が増えているんですよね。そういった場合に、マンションレビューに掲載されているマンションごとのページが検索結果の上位に表示され、そのページにランディングして、サイトを訪問していただくという形が多いですね。

ポータルで物件を見た後以外にも、すでに内見をして「すごく良いので決定する前に評判や相場を調べよう」といった物件を調査するタイミングが、購入の過程でいくつかあります。他には、今住んでいる人が自分のマンションを売ったらいくらなのかを調べるためもありますね。基本的には一つのマンションを深く知りたい時に利用されるということですね。

―不動産会社からしてみれば、良い評判の口コミを増やすための「やらせ」のようなこともできてしまうのではないでしょうか。

基本的に口コミはすべて目視でチェックしていて、おかしいものは削除しています。また、口コミはメリットとデメリット両方を書き込まないといけないフォームになっているので、どちらも増えていくようになっています。

あとは、今では消費者も賢くなっているので、すごく良いばかりが書いてあっても、それを100%信じこむということはないですね。居住者が口コミを書くケースが多いので、自分のマンションを良く書きたいというバイアスが多少かかるんですね。ですから、消費者も「居住者が書いているなら2割増しぐらいになっているのかな」といったリテラシーが高まってきていると思います。

―不動産会社や管理組合からの物件情報を削除して欲しいといった要望はないですか。

全くないわけではありませんが、思ったより少ないなと感じています。明らかに事実と異なる書き込みがあるので削除して欲しいというリクエストがあるくらいです。多いのは賃貸住宅のオーナーからの問い合わせです。賃貸経営はビジネスですから、悪い口コミがあると、入居に大きく関わりますからね。分譲マンションはほとんどないですね。

口コミの中には、売買には不利に働く情報もあると思いますが、市場の健全性を考えれば、そういったネガティブな情報も含め、情報はできるだけ多い方が消費者が安心して取引できるという考えでいます。

ただ、どちらかというと口コミより相場情報の方が需要は多いですね。

住宅は内見せずに買うということはありませんよね。ですから、マンション全体の雰囲気などは内見である程度分かるんですよね。少なくとも全く手がかりがないわけではない。でも相場というのは、一般の方は全くわからないので、そちらの方によりニーズがあるのかなと推測しています。

―『マンションレビュー』は物件価格のセカンドオピニオンという需要があるんですかね。

そうですね。あとは、「資産価値が下がりにくい物件か」というのを気にされる方が多いですね。やはり終の棲家として買われるわけではなくて、家族構成とともに住み替えることがあり得る、と考えられている方が多いのでしょう。つまり、資産として住宅を見る人が増えていますね。10年以上前になりますが、私が不動産会社で働いていた時は、今ほど、そういったことを考えている人は多くなかったのですが。

―今後、新しく取り組みたいことを教えてください。

不動産の売却についての情報が足りていないと思っています。それと買ってから売るまでの保有期間に必要とされる情報ですね。そういった、需要があるところに情報を提供していきたいと考えています。

例えば、今売るといくら?といったサービスなど、居住中でも資産価値を簡単に意識できるツールを作ったりしたいですね。もちろん売却する時にも何か提供したいと考えています。今後も中古流通が伸びていくということを考えても、そこの領域に伸びしろがあると考えています。

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