大手デベロッパー比較(メジャー6社)2023

不動産業界で「メジャー6社」と呼ばれる大手デベロッパーについて、売上、純利益、社員数、時価総額の4つを比較しランキング形式で考察しました。また、前年からの数値の増減も併記しています。業界をけん引する大手6社の実情を俯瞰することにより、不動産業界の大きな流れが見えます。(リビンマガジンBiz編集部)

集計方法

  • 三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産ホールディングス、野村不動産ホールディングス、東京建物の6社を調査
  • 6社中5社の「売上」「純利益」「社員数」は、2022年3月期の有価証券報告書より集計
  • 東京建物のみ決算期が12月のため、2022年12月期の有価証券報告書より集計
  • 連結決算の数値を採用
  • 2023年5月2日時点の「時価総額」を集計

売上ランキング1位は三井不動産、全社が売上増

売上高ランキング 2023

順位 会社名 2022年12月期時点
売上(百万円)
前年期
売上(百万円)
売上前年比(%)
1 三井不動産 2,100,870 2,007,554 1.05
2 三菱地所 1,349,489 1,207,594 1.12
3 住友不動産 939,430 917,472 1.02
4 東急不動産ホールディングス 989,049 907,735 1.09
5 野村不動産ホールディングス 654,735 580,660 1.13
6 東京建物 349,940 340,477 1.03

 

1位は三井不動産で、売上高は2兆1,008億7,000万円と、不動産業界唯一の2兆円超えでした。前年比105%と、安定した拡大路線にあります。

三井不動産は今年350周年を迎える三井グループ傘下の不動産企業で、2023年3月10日には日本の玄関口・東京駅前に「東京ミッドタウン八重洲」をオープンしました(2022年9月竣工)。ショッピングや飲食店のほか、宿泊施設やバスターミナル、小学校もあり、まるでひとつの街のように多様性に富んだ大規模施設となっています。円安の折、外国人のインバウンド需要も期待できそうです。

新型コロナの影響が大きかった昨年に比べて、6社すべてが売上増となり、力強い回復を見せています。昨年と比べて最も売上がアップしたのは野村不動産ホールディングスで前年比113%、次いで三菱地所の112%となっています。逆に、もっとも伸び幅が少なかったのは住友不動産の前年比102%で、2020年3月期の時点では売上1兆3,021億9,600万円でしたが、2022年3月期の時点で9,890億4,900万円と、未だに1兆円台に戻せていない状況です。

参考記事

大手デベロッパー比較(メジャー6社)2022

純利益ランキング1位は三菱地所。東急不動産HDの巻き返し目立つ

純利益ランキング 2023

順位 会社名 2022年12月期時点
純利益(百万円)
前年期
純利益(百万円)
純利益前年比(%)
1 三菱地所 182,889 147,069 1.24
2 三井不動産 175,754 129,727 1.35
3 住友不動産 150,452 141,389 1.06
4 野村不動産ホールディングス 55,380 42,227 1.31
5 東京建物 44,084 35,938 1.23
6 東急不動産ホールディングス 35,981 21,634 1.66

 

1位は三菱地所で、純利益1,828億8,900万円、前年比124%となりました。三菱地所は三井不動産と並んで業界の双璧と呼ばれる大手財閥系企業です。4月には、パナソニックオペレーショナルエクセレンスやパナソニックホームズ、関電不動産開発と連携し、宮城県仙台市泉区の新規開発街区「泉パークタウン朝日」において、防災やデジタル対応など多様な機能を備えた地域コミュニティ拠点「朝日センターハウス」を竣工しました。

純利益ランキングにおいてもすべての企業が前年比増益となっています。最も増益率が高かったのは東急不動産ホールディングスで166%となりました。同社は大手デベロッパーの中でもコロナ禍の打撃が深刻だった企業とされていましたが、純利益からは経営の立て直しがうまく行っていることが窺えます。

また、昨年3位の三井不動産が前年比135%で2位に浮上している点もポイントです。ここでも、他社に比べて比較的伸び幅が鈍いのは住友不動産で、前年比106%でした。

社員数ランキング1位は三井不動産。東急不動産HDと住友不動産は社員減

社員数ランキング2023

順位 会社名 2022年12月期時点
社員数
前年期
社員数
社員前年比(%)
1 三井不動産 24,408 23,992 1.02
2 東急不動産ホールディングス 21,276 23,411 0.91
3 住友不動産 13,040 13,530 0.96
4 三菱地所 10,202 9,982 1.02
5 野村不動産ホールディングス 7,548 7,390 1.02
6 東京建物 5,878 5,648 1.04

 

社員数ランキング1位は三井不動産で2万4,408人でした。前年の2万3,992人から416人増えて、102%の微増と、拡大路線を維持しています。コロナ前まで1位だった東急不動産ホールディングスは前年比91%の2万1,276人となり、3位の住友不動産も前年比96%の1万3,040人と、コロナ禍の影響を踏まえて社員を減らしました。それ以外の企業は102%~104%の微増となっています。

時価総額ランキング1位は三井不動産。野村不動産HD以外は時価総額減

時価総額ランキング2023

順位 会社名 2023.5.2時点
時価総額(百万円)
2022.4.15時点
時価総額(百万円)
時価総額前年比(%)
1 三井不動産 2,498,695 2,627,521 0.95
2 三菱地所 2,173,819 2,558,234 0.85
3 住友不動産 1,469,201 1,657,255 0.89
4 野村不動産ホールディングス 606,441 550,487 1.1
5 東急不動産ホールディングス 480,127 495,244 0.97
6 東京建物 354,748 385,078 0.92

 

1位は三井不動産で、2023年5月2日時点の時価総額は2兆4,986億9,500万円でした。2位は三菱地所で、2兆1,738億1,900万円となっています。三井不動産は前年比95%と減少していますが、三菱地所は85%とより減少幅が大きかったため、コロナ前の時価総額1位の座を奪還することはできませんでした。

2023年度前半は景気減速に対する懸念や、米銀行の破綻などの不安要素により、日本の不動産業界の株価は2022年の同時期よりも全体的に下がっています。時価総額は4位の野村不動産ホールディングス以外の5社が前年比減となりました。

野村不動産ホールディングスは順調にコロナ禍の影響から回復しており、4月27日には、傘下の野村不動産ソリューションズが運営する不動産情報サイト「ノムコム」に、「ハッシュタグ・間取り図検索」機能を追加しました。これは、不動産情報メディア等を運営するアットホームの「間取図特徴抽出 AI モデル」という技術を導入したもので、消費者のライフスタイルのこだわりをAIが学習してお勧め物件を提示します。

絵画や文章作成などにおいてAIの活用が注目される今、消費者一人一人のニーズに即座に応えるAIサービス導入の動きは、不動産業界においてもさらに加速することが予想されます。

 
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