上場している不動産企業121社(※)について、2024年の大発会と大納会の株価を比較し、上昇騰落率を高い順にランキングしてご紹介します。上場を廃止する企業が増え、新陳代謝が進む中、技術力を武器にDXを推し進める不動産企業が投資家から注目を浴びたようです。(リビンマガジンBiz編集部)

※注=編集部基準

株価騰落率

集計方法

  • 2024年1月4日(大発会)の終値と2021年12月30日(大納会)の終値を比較
  • 大発会・大納会に取引がなかった企業は、取引があった直近の日の終値を比較
  • タスキホールディングス(2024年4月1日IPO)、アズパートナーズ(2024年4月4日IPO)、サムティホールディングス(2024年6月3日IPO)の3社は、取引初日の終値と比較
  • 2024年中に株式分割を行った会社は、株式分割後と比較できるよう調整した値を「株式分割調整後終値」の欄に掲載

2024年、1年で上昇騰落率100%以上は9社 1位はクリアル

順番 会社名 騰落率(%) 2024年
大発会(終値)
株式分割
調整後終値
2024年
大納会(終値)
1 エスポア 485.79% 577 3,380
2 ミガロホールディングス 254.30% 1,453 726.5 2,574
3 アンビション DX ホールディングス 192.42% 792 2,316

1位はエスポアで、2024年初には577円だった株価が、大納会時点では3,380円となり、上昇騰落率は486%となりました。同社は、提携先等から入手した不動産情報を精査したうえで、不動産価値を最大化するための企画立案、事業収支計画やリスク分析を行い、開発用地や物件を購入して事業化しています。

この一年でエスポアの株価が極端に上昇したのは、株主であるJPIW合同会社と現経営陣が経営方針をめぐって対立し、JPIW合同会社が経営権を握るために、複数の株主と実質的に共同してエスポアの株式を大量に購入したからです。この件に関連して、2024年9月には、エスポア側に名誉棄損があったとして損害賠償を求める訴訟が提起されるなど、事態は深刻化しています。

ポジティブな理由ではありませんが、エスポアの急激な株価上昇は投資家たちの間で注目の的になりました。

2位はミガロホールディングスで、大発会時点で1,453円だった株価が、大納会でfは2,574円、騰落率は株式分割を考慮すると254%でした。同社は2023年10月に、プロパティエージェントの完全親会社である純粋持株会社として設立されました。同社グループでは、主にDX推進事業及びDXを業務コアとする不動産事業を展開しています。

同社の子会社DXYZは、顔だけでオフィスやマンションのセキュリティ解除、店舗決済などができる顔認証プラットフォームサービス「FreeiD(フリード)」を開発・運営し、事業の将来性が期待されています。面倒なIDやパスワードの入力が不要な認証技術の需要は高いとみられ、海外進出のためのチームも立ち上げています。

3位はアンビション DX ホールディングスで、大発会時点で792円だった株価が、大納会時点で2,316円になり、騰落率は192%でした。同社は不動産所有者から家賃保証付きで借り上げた物件を消費者に賃貸し、入居者募集代理業務や入退去時の現状回復などを行う賃貸DXプロパティマネジメント事業を主軸としています。

DX化により、不動産所有者については収益管理や物件管理に関する負荷削減と収益性の向上、部屋を借りたい人には店舗に行かずに物件を借りることが可能なセルフ内見など、次世代型の賃貸管理システムを提供。業績も好調で、投資家から将来性を期待されています。

2024年の調査では、経営権をめぐる対立で株価が上昇したエスポアを除くと、不動産事業のDX化を推し進める企業の躍進が目立ちました。人手不足が深刻な昨今、DXにより手間や人手を削減できる仕組みは高い注目を浴びているようです。

順番 会社名 騰落率(%) 2024年
大発会(終値)
株式分割
調整後終値
2024年
大納会(終値)
4 グランディーズ 178.87% 388 1,082
5 デュアルタップ 154.55% 407 1,036
6 ランドネット 135.53% 1,030 515 1,213
7 アールプランナー 130.62% 676 1,559
8 REVOLUTION 101.25% 16 160 322
9 青山財産ネットワークス 83.62% 1,038 1,906
10 エリアリンク 78.02% 2,566 1,283 2,284

2024年大発会時点よりも大納会のほうが、株価が上昇した会社は121社中69社で、不動産会社全体の株価の平均は一年で約8%上昇しました。2023年は127社中84社、株価の平均は17%上昇していたことを考えると、投資家が企業を見る目は厳しくなっていることがわかります。

2024年に東京証券取引所で上場を廃止した会社は94社と、13年以降で最多となりました。本格的なコロナ後の世界へ向け、新しい技術の導入など企業価値の向上を図ることが投資家から求められており、企業の新陳代謝が今後も促進されていくと考えられます。

順番 会社名 騰落率(%) 2024年
大発会(終値)
株式分割
調整後終値
2024年
大納会(終値)
11 ストレージ王 74.39% 574 1,001
12 THEグローバル社 73.12% 398 689
13 アスコット 69.60% 125 212
14 レーサム 61.37% 3,650 5,890
15 ムゲンエステート 57.22% 1,178 1,852
16 ハウスコム 54.40% 910 1,405
17 インテリックス 51.92% 572 869
18 リアルゲイト 50.69% 1,671 2,518
19 パルマ 43.05% 367 525
20 LeTech 39.70% 1,005 1,404
21 タスキホールディングス 36.29% 620 845
22 ゴールドクレスト 32.84% 2,360 3,135
23 サムティホールディングス 32.35% 2,482 3,285
24 グッドライフカンパニー 30.81% 1,873 2,450
25 エスリード 29.96% 3,505 4,555
26 リログループ 29.47% 1,489.50 1,928.50
27 スター・マイカ・ホールディングス 28.69% 603 776
28 ロードスターキャピタル 25.19% 1,985 2,485
29 エリアクエスト 25.00% 108 135
30 スターツコーポレーション 23.65% 3,045 3,765
31 カチタス 23.33% 1,843 2,273
32 ケイアイスター不動産 23.29% 3,500 4,315
33 明豊エンタープライズ 20.32% 251 302
34 プレサンスコーポレーション 19.20% 1,677 1,999
35 トーセイ 17.44% 2,144 2,518
36 RISE 15.79% 19 22
37 LAホールディングス 15.56% 4,950 5,720
38 オープンハウスグループ 14.70% 4,646 5,329
39 ヨシコン 14.11% 1,311 1,496
40 東京建物 13.92% 2,288.50 2,607
41 イオンモール 11.23% 1,829.50 2,035
42 平和不動産 11.22% 3,920 4,360
43 京阪神ビルディング 10.49% 1,497 1,654
44 フジ住宅 10.36% 724 799
45 グッドコムアセット 10.19% 785 865
46 ホームポジション 9.91% 323 355
47 サンフロンティア不動産 9.70% 1,774 1,946
48 エストラスト 9.46% 645 706
49 GA technologies 8.60% 1,430 1,553
50 ビジネス・ワンホールディングス 7.17% 683 732
51 三菱地所 6.69% 2,062.5 2,200.5
52 霞ヶ関キャピタル 6.25% 12,650 13,440
53 コスモスイニシア 6.12% 784 832
54 住友不動産 5.65% 4,676 4,940
55 And Doホールディングス 5.48% 1,150 1,213
56 和田興産 5.05% 1,327 1,394
57 サンネクスタグループ 4.89% 962 1,009
58 フェイスネットワーク 4.58% 1,661 1,737
59 香陵住販 4.44% 1,510 1,577
60 MIRARTHホールディングス 4.03% 496 516
61 グローバル・リンク・マネジメント 3.95% 2,605 2,708
62 アーバネットコーポレーション 3.91% 409 425
63 ジェイ・エス・ビー 3.77% 2,650 2,750
64 アズーム 3.58% 6,700 6,940
65 三井不動産 2.20% 3,728 1,242.67 1,270
66 日神グループホールディングス 1.52% 526 534
67 ランディックス 1.22% 2,460 2,490
68 アグレ都市デザイン 0.98% 1,626 1,642
69 ディア・ライフ 0.59% 1,020 1,026
70 ランド 0.00% 7 7
ASIAN STAR 0.00% 84 84
72 フォーライフ -0.16% 615 614
アズパートナーズ -0.16% 1,819 1,816
74 エムティジェネックス -1.83% 2,568 2,521
75 東急不動産ホールディングス -2.60% 993.4 967.6
76 FJネクストホールディングス -2.73% 1,246 1,212
77 アズマハウス -2.86% 770 748
78 プロパスト -2.94% 170 165
79 ウィル -3.60% 472 455
80 イノベーションホールディングス -3.67% 1,009 972
81 野村不動産ホールディングス -3.87% 4,062 3,905
82 JPMC -3.94% 1,167 1,121
83 日本エスコン -4.22% 1,018 975
84 センチュリー21・ジャパン -4.52% 1173 1,120
85 アールエイジ -6.17% 811 761
86 ツクルバ -6.43% 824 771
87 穴吹興産 -7.23% 2,158 2,002
88 日本グランデ -7.41% 810 750
89 地主 -7.42% 2,333 2,160
90 長栄 -7.64% 2,174 2,008
91 セントラル総合開発 -7.66% 509 470
92 毎日コムネット -7.83% 779 718
93 SREホールディングス -8.16% 3,370 3,095
94 東武住販 -8.66% 1,178 1,076
95 ストライダーズ -9.22% 217 197
96 サンセイランディック -9.24% 1,050 953
97 イーグランド -9.99% 1,572 1,415
98 テーオーシー -10.14% 710 638
99 ADワークスグループ -10.17% 236 212
100 マリオン -10.55% 417 373
101 フージャースホールディングス -11.46% 1,178 1,043
102 シーアールイー -11.84% 1,427 1,258
103 大英産業 -11.85% 1,055 930
104 グローム・ホールディングス -12.21% 729 640
105 AVANTIA -12.75% 910 794
106 アズ企画設計 -13.69% 2,827 2,440
107 エコナックホールディングス -14.93% 134 114
108 AMGホールディングス -15.21% 1,933 1,639
109 property technologies -16.09% 1,075 902
110 ヒューリック -16.36% 1,638 1,370
111 三重交通グループホールディングス -21.14% 629 496
112 ヤマイチ・ユニハイムエステート -21.52% 999 784
113 ウッドフレンズ -23.97% 1,331 1,012
114 明和地所 -24.87% 1,359 1,021
115 ティーケーピー -24.97% 1,686 1,265
116 コーセーアールイー -25.65% 998 742
117 エリッツホールディングス -27.36% 2,306 1,675
118 ランドビジネス -28.26% 276 198
119 イントランス -37.42% 163 102
120 クリアル -51.38% 6,170 3,000
121 クミカ -60.94% 791 309

 

 
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